中国製「テスラ・モデル3」が欧州へ、中国のEVハブ化が加速

テスラ・モデル3、上海にて(Feature China/Barcroft Media by Getty Images)

テスラが新設した上海工場で製造された電気自動車(EV)が11月26日、ベルギーのゼーブルッヘ港に到着した。中国が、欧州におけるポスト化石燃料自動車市場のハブになりつつあることの証だ。

BMWの「iX3 SUV」も、中国で製造されている。

加えて注目すべきは、テスラが中国で新たなバッテリー工場にも投資していることだ。その工場で製造される製品のほとんどは中国本土で販売される予定だが(中国は世界トップの自動車市場であり、電気自動車生産数も世界一だ)、欧州や米国でも需要が供給をはるかに上回っているため、中国で製造されたバッテリーは今後輸出されると考えるのが自然だろう。

テスラは、日本のパナソニック、韓国のLG化学とともに、電気自動車用の長寿命バッテリーに関して世界屈指のメーカーだ。中国のBYD(比亜迪)とCATL(寧徳時代)がこれに続く。

中国メーカーは生産数こそ多いものの、バッテリー技術はまだトップクラスの競合他社には及ばない。上海のテスラで働く中国人エンジニアたちは、やがて生産速度を上げ、技術を学び、そしてBYDやCATLに移るだろう。

一方、26日にEUに到着した7000台の電気自動車は、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、スイスに出荷される。ドイツに比べると、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、スイスの自動車生産量は、現時点では微々たるものだが、ドイツの「未来のEV」はメイド・イン・チャイナなのだ。

テスラのグローバル副社長であるタオ・リン(Tao Lin)は新華社に対し、テスラはパンデミックを克服した中国への信頼を深めており、現在の景気回復の恩恵を受けていると語った。

野村證券は11月27日付けの顧客向けリポートで、中国のGDP成長率は、第3四半期の4%超えに続き、第4四半期は5.3%以上になる見通しだとした。

習近平国家主席は、2021年における中国の経済成長率は5%になると述べている。

タオは、中国製のテスラ・モデル3の輸出拡大を宣言した。またテスラは2019年、ベルリンに工場を建設し、モデル3を含めた4つのモデルとソーラーパネルを製造するとも発表している。
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翻訳=的場知之/ガリレオ

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