「真の未来」がある未来を求めるのは高望みなのか?

Photo by Alex Wong/Getty Images

野心的な環境政策を掲げるジョー・バイデンの米大統領就任が間近となったことで、金融界はこれまで考えていたのと違う未来に備えざるを得なくなっている。その未来とは、私たちには実際に未来があるのかもしれないという希望をもたらすものだ。

その未来とはいったいどのようなもので、実業界にどのような影響を及ぼすのだろう? 投資家らは、化石燃料に固執する企業は真っ先に切り捨てられるとの認識を高めているようだ。資産運用世界最大手ブラックロックの決定を皮切りに、ファンドは次から次へとポートフォリオからこうした企業を除外。投資家たちは徐々に知見を深め、こうしたファンドを好むようになっている。環境を配慮することはもはや、単に倫理的な決断だというだけではなく、金儲けにつながるのだ。

多くの投資銀行が既に、2050年までに炭素排出量を実質ゼロにする「ネット・ゼロ・エミッション」の目標を掲げるとともに、自社の経済活動が気候変動危機に実際にどれほど貢献しているかという情報のみならず、気候変動危機によって自社の資産がどの程度危機に晒されているかの情報も公開すると約束している。

米連邦準備制度理事会(FRB)は先月公表した報告書で、気候変動への対応を誤れば米経済が危機に陥る可能性があるとの見解を初めて示した。愚かな気候変動否定論者のせいで4年間を無駄にした米国は、今こそ軌道修正すべき時だ。石油化学業界で働く人々ですら、長期的な雇用の安定を求めて再生可能エネルギー業界へと転職し始めている。

もう何年も前から、世界のエネルギー生成インフラは再生可能エネルギーへと舵を切っており、再生可能エネルギーは化石燃料と比べコストが大幅に低いことが示されている。世界中で構築される新規インフラの大部分が再生可能エネルギーに焦点を置いており、2025年へ向けた計画はほぼすべての国でさらに野心的な内容となっている。米国では、かつてフラッキングに飛びついた投資ファンドがこれにあっさりと背を向け、今は再生可能エネルギーに目を向けている。米国では国内の電力を完全に脱炭素化することで、数十億ドル単位のコストを削減できる。
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編集=遠藤宗生

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