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中山 亮太郎 マクアケ 代表取締役社長(右)と田村 淳 ロンドンブーツ1号2号(左)

The MACALLAN  × Forbes JAPAN
The MACALLAN CONVERSATIONS ~挑戦者たちの大逆転劇~


挑戦者はたとえ困難に直面しても、心の炎を消すことなく大逆転のチャンスを虎視淡々と狙い続けるものだ。その情熱が導き出した大逆転劇を経て今日に至るCEOが当時の想いを語り、田村淳が聞く。そこには、いったいどのような復活のドラマがあったのか。

The MACALLANの芳醇な香りが漂う空間で、今回田村淳が迎え入れたゲストは、クラウドファンディングの立役者として名声を受けながら、現実とのギャップに苦しみ続け、大胆な方向転換で大逆転を実現したマクアケの中山亮太郎だ。



最先端ビジネスとして注目を集める一方で、存続の危機を迎えていた「Makuake」

田村 淳
(以下、田村):これまで何度か仕事でご一緒していますが、こうしてふたりで対話するのは初めてですね。2019年12月に上場も果たし、順風満帆に見えていたのですが、その裏で大変な苦労をなさったとか。

中山亮太郎(以下、中山):むしろ苦難の連続で、やっと出口が見えてきたというほうが正しいかもしれません。13年に、日本ではまだ珍しかったクラウドファンディングサービス「Makuake(マクアケ)」を立ち上げましたが、マスコミなどでもてはやされる一方で、現実の市場の理解は得られないという二律背反状態で、資金も何度も底を尽きそうになり、苦しい時期を過ごしました。

いま振り返ると、クラウドファンディングというビジネストレンドの最先端サービスを日本へもち込むのだという意識ばかりが強く、どこかカッコをつけていたのだと思います。

田村:クラウドファンディングという言葉が先行して、実体がいまひとつ理解しにくい印象が、当時はありましたね。そして中山さんはそのトレンドの中央で、看板を背負って立っている印象がありました。

中山:Makuake開設当初、新しい商品を生み出すための資金調達、“募金サイト”のイメージでスタートしたのですが、これがマーケットにほぼ受け入れられませんでした。企業にも「募金と言われても」と、利用を却下されてしまう。まさに光の見えない毎日でしたね。

田村:そこからどういったきっかけで、逆転することができたのですか?

中山:事業を成功させるためにどうしたらいいのか、方々に聞いて回る毎日を過ごしました。そのなかで、サービスを利用して販売を成功させた時計メーカーの代表が「Makuakeは資金調達だけではないね」と言ってくれたのです。在庫リスクを抱えずに、テスト販売ができて、新製品をつくるときに需要予測ができるプラットフォームなのだと言うのです。

これが私にとってのブレイクスルーとなりました。企業へは「資金不要で先行販売ができます、テストマーケティングにも最適なサービスです」と、Makuakeの価値を自分たちの言葉で力強く説明できるようになりました。するとソニーや東芝などの名だたる企業が活用を決めてくれるようになったのです。

田村:イメージではなく、実際のマーケットに即した自分たちのサービスの意味を再発見して、それが逆転につながったわけですね。


「The MACALLAN」にも苦難の時代があった。かつて第二次世界大戦の戦時中、ウイスキー全生産量は激減し、原材料の大麦は高騰した。熟成の足りない原酒を使って品質を落とすリスクをとる蒸溜所もある中「The MACALLAN」は品質を守り続け、今日まで残るウイスキーとなった。貯蔵分を売却して短期的な利益を得るのではなく、未来の愛飲家のためにあえて厳しい道を選んだのだ。

生まれるべきものを生み出すための力になりたい

田村:以前、Makuakeのサービスを聞いたときに、企業へアドバイスすることが大事だと聞きました。それは、非常に労力のかかることではないのでしょうか。

中山:確かにそうです。しかしプラットフォームを世の中にただ投げ出すだけでは、活用されるわけがありません。サポートしてこそサービスは成立する。新しい概念のサービスなら余計にそうです。

だから私たちはそれぞれの企業に寄り添い、アドバイスをするのです。規模が大きくなればなるほど手間のかかることは大変ですが、そこだけは譲れませんね。

田村:なぜ、そこまでするのですか?

中山生まれるべきものを生み出すための力になりたいという信念ですね。世の中にはよい製品をつくることのできる技術やアイデアをもっていても、“知ってもらうことが苦手”で資金を集めることができず、市場に出せないという企業が、数多く存在します。

Makuakeはそうした市場に出るべき製品を世に出すための道筋をつくっていきたいのです。そうした想いから、近年はクラウドファンディングという呼称ではなく「応援購入」というキーワードを使うようになりました。

さらにこの仕組みは、資金や購入者を得るだけではありません。将来的には販売力をもつ店舗や、拡散力をもっているインフルエンサー、サービス開始のためのスキルを提供できるプログラマーなどが、製品のアイデアのもとに集結して、ものづくりを実践するプラットフォームとしても機能します。


守り続けた価値あるものにスポットライトが当たる時代

田村:いま私たちが嗜んでいる「The MACALLAN」も戦時中、スタッフが続々と欠けていくなかで、製法には決して妥協しなかったと言います。中山さんがプラットフォームを生かすために、手間を惜しまないというこだわりとリンクするものはありますでしょうか?



中山:まず、品質の高さが時を超えて、私たちのもとに届く。このグラスの中に、190年守り続けた伝統の味わいがあり、いまも世界中で愉しめるということに、私は感動します。価値のあるアイデア・技術はお蔵入りすべきでは無いと思うのです。それが私のイデオロギーとして根底にあるのです。

日本でも、燕三条にあるキッチン用品の老舗が、その高品質なものづくりを、近年のアウトドアブームで再認識され大きな評価を受けたという現象がありました。このコロナ禍でも、”TO DO”よりも”好き・愉しい”といった「エンターテイメントの消費」が増えており、苦難を乗り越えたものづくりの会社に追い風が吹いていると思います。

「The MACALLAN」も品質を下げる選択を迫られたこともあったでしょう。しかしこのかけがえのない価値を知る人々が、決して許さなかったのだと思います。

伝統と品質を守り続ける者たちに、常に追い風あれ。そんな気持ちでもう一杯、このグラスを傾けたいのですが。

田村:どうぞ、遠慮なく。中山さんは伝統を守り続ける人々の背中を押すという道を選びました。杯を重ねる資格は、十分すぎるほどあると思いますよ。


伝統と品質を守り続けるために妥協しなかった製法。職人たちが手間暇を惜しまずつくるオーク樽や、リッチな蒸溜酒を抽出する極小の蒸溜釜などのこだわりは、長い歴史を経て、「The MACALLAN」の確固たるアイデンティティを築いている。今日もそれは、どこかで挑戦者たちの手に取られているかもしれない。



The MACALLAN 18YEARS OLD
(ANNUAL 2020 RELEASE)

Ne Plus Ultra 銀座
東京都中央区銀座7丁目2-11 横須賀第五ビル B1F



なかやま・りょうたろう◎慶応義塾大学卒業。2006年にサイバーエージェント入社。ベトナムにベンチャーキャピタリストして赴任、現地のネット系スタートアップへの投資を実行。13年に帰国後、クラウドファンディング(現・マクアケ)を設立、代表取締役社長に就任。

「The MACALLAN CONVERSATIONS ~挑戦者たちの大逆転劇~」
https://forbesjapan.com/feat/macallan/
田村淳がCEOの大逆転劇とその原動力に迫る「The MACALLAN CONVERSATIONS ~挑戦者たちの大逆転劇~」。各回は以下の通り。

SHOWROOM株式会社 代表取締役社長 前田 裕二
株式会社マクアケ 代表取締役社長 中山 亮太郎(本記事)





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