ビジネス

2020.12.12 08:00

年収5000万円 シリコンバレーのエンジニア「副業というリスク回避」

酒井潤氏


竹崎:最後に読者に向けた応援メッセージをお願いします。
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酒井:日本とシリコンバレーの双方で働いて痛感するのは、日本のエンジニアとアメリカのエンジニアに大差はないということです。ただ、GAFAをはじめとするアメリカの主流はPythonというプログラミング言語であるのに対し、日本はRubyのようなグローバルスタンダードではない技術や言語を選択している人が多いんです。

エンジニアのIQレベルや勤勉さでいうと、日本人の方が上回っていると思うので、日本のエンジニアがグローバルに通用する技術選定をして、さらに英語で最低限のコミュニケーションがとれれば、アメリカでも十分に活躍できると思います。シリコンバレーのエンジニアは、日本で同じ仕事をするエンジニアの5倍くらいの給料をもらっていますし、マネージャーよりも稼いでるエンジニアもいますよ。

阿部:プログラマーは、スポーツの世界と似ていますね。選手がコーチよりも年俸が高い場合もあるわけで。僕も、英語環境、ローカルの環境にアダプトでき、日本でやっていたことを海外でそのまま実践できたならば、日本人は海外でも活躍できると思います。
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海外のジョブ型雇用だと、マネージャーは指示を出すのみですが、メンバーシップ型でやってきた日本人のマネージャーは自分も汗かいて働くので、海外では感動されるんですよね。少しでも定時を過ぎて働いていると、こちらはやるべきことをやっているという感覚だけど、周囲からしてみると「すごくコミットしているな」という評価を受けます。

酒井:アメリカには言い訳も含めて口が達者な人がすごく多いですが、手足を動かす人はあまりいないですよね。日本人は勤勉だし、責任感は強いし、能力も高い。ただ、英語ができないというそれだけの理由で、世界で活躍するチャンスを逃したり、可能性がないと思い込んでしまったりしています。

それで、給与がアメリカの数分の一になってしまうのはもったいないですね。私自身、英語は全くできないサッカー一筋の人生から、こうして今はシリコンバレーでエンジニアとして働けています。日本で自分の価値が発揮できていないと感じている人がいたら、ぜひ海外でのチャレンジも考えてほしいです。

阿部:たしかに、場所や産業によっても違いますが、海外で働ける力や意志のある日本人ならば、肌感覚としても、海外の方が労働環境や給与の条件が良いケースが多いと感じます。



竹崎:お二人の話を聞いて、全く異なる業界や海外で新しいキャリアをスタートさせるための思考やTipsがよくわかりました。いきなり人生をかけてセカンドキャリアに飛び込むのではなく、例えば海外就職するにしても、外資の日本法人から本社へ転籍したり、駐在から現地に籍を切り替えるなどいろいろな方法があるわけですから、そういう方法を見つけながら柔軟にキャリアを構築していきたいものです。

酒井さんが言う「スプーン一杯のリスク」は、私も心がけようと思います。


酒井潤(さかい・じゅん)◎2001年にU-21 サッカー東アジア競技大会に日本代表として出場し、金メダルを獲得。現在は、シリコンバレーを代表するIT企業スプランクにて、エンジニアとして活躍する傍ら、Udemyでのプログラミング講師やYouTubeでの情報発信など幅広く活動している。主な著書に「スキルの掛け算で年収が増える 複業の思考法

阿部博一(あべ・ひろかず)◎V・ファーレン長崎で3シーズンプレーした後(最終年はプロ契約)、カリフォルニア大学サンディエゴ校にて国際関係学修士号を取得。グラミン銀行でのインターン等を経て、2016年よりマレーシアにてアジアサッカー連盟(AFC)審判部副部長を務める。現在はSPORT GLOBALを立ち上げ、海外スポーツ界に挑戦する若者のサポートも行う。Forbes JAPAN「国際スポーツの舞台で活躍する8人の日本人」、東洋経済オンラインにて執筆。

文=伊藤みさき 構成=竹崎孝二

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