阿部:三菱総研で働いているとき、Jリーグに営業へ行っていたんです。そしたら逆に「こんなプログラムあるから参加しませんか」と誘われて、Jリーグヒューマンキャピタル(現:スポーツヒューマンキャピタル)というプログラムに第一期生として参加しました。そのプログラム修了後にお誘いを受けた感じです。
竹崎:ミイラ取りがミイラになったんですね(笑)。そこで引っ張ってもらえる地力がついていた、という点がすごいです。
酒井:面接ではどういうことを聞かれるんですか。
阿部:いくつか聞かれたなかに、「あなたのリーダーシップを1から10で自己評価してください」という質問がありました。
酒井:その質問は困りますね(笑)
阿部:僕は「10だ」と答えました。3と4、6と7の違いを説明できないと思ったので、「あるかないかで言ったらある。だから10だ」と言ったんです。
竹崎:そこで10と言えるところが強さですね。日本人の感覚だと、自信があったとしても、8や9と答えて、「リーダーシップはあるが、ここが改善点で」という言い方をすることが多いと思うんです。そこで言い切る自信と胆力を見習いたいです。スプランクの採用はいかがでしたか。
酒井:私が入社しようとしていたときは、ちょうどスプランクが上場するという噂が盛り上がっていた時期だったので、いろんな人が受けに来ていて、採用試験は結構厳しかったです。内容としては、初めに約20分の電話面接があり、どういう言語を使えるのかといった基本的な質疑を受けます。
そのあと、3日間にわたる計12回のコーディング面接がありました。1日目の面接に合格すると、翌日も呼ばれるというスタイルです。最終日に、ようやく志望動機を聞かれて、「スプランクのビジネスは色々展開できそうだから」と言ったら、「OK。給料はいくらほしい?」という感じでした。
ハードな面接でしたが、私は英語が得意ではないので、かえってプログラミング技術をみてもらえたのはラッキーでした。面接の前3ヶ月間は、ずっと問題集を解いてコーディングを勉強しまくっていたので、そのコーディングのスキルが英語力をカバーして突破できたのだと思います。
阿部:すごいですね。専門の分野の知識をきちんと試すプロセスがあって、最後に人物像を見るというのがアメリカっぽいです。
酒井:特にエンジニアはそうかもしれないですね。ただ、プロジェクトマネージャーのような経営層になると、一緒に働きたいかという点がより重視されるのではないかと思います。
竹崎:米国社会で、英語のハンデがありながら、実力で正面突破されたのは本当にすごいですね。
酒井:ただ、上場したあとは面接が緩くなりました。上場すると、上場前から在籍していた社員はストックオプションで潤うので、次々に辞めていくんです。私は上場のわずか1週間前に入社したので、その恩恵はほとんど受けなかったのですが……。
経営者たちも、それをわかっているので、上場した瞬間に採用を開始して、どんどん雇うんです。そのため、アメリカで働きたい場合、上場直後のタイミングを狙うと入りやすいかもしれません。企業も株式公開で資金が潤沢ありますし、ストックオプションは得られなくても、そのタイミングで給料を上げる企業は多いので、狙い目だと思います。