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最先端の経済誌「Forbes JAPAN」の記事紹介


チャクラバーティとハントが次に可能性を見出しているのは農業だ。2人は、自社の技術を使って重要なミネラルや金属を土壌に加え、肥料を再発明できると考えている。肥料市場は1750億ドル規模と、排水浄化市場と同様に巨大であり、問題があると知りつつ化学製品に依存してきた。

「僕らの製品は、コスト面でも競争力があるし、なんといっても生物分解可能なものだからね」

チャクラバーティはそう話し、規制当局の米国環境保護庁からの承認は近く得られる見通しだと語った。米国、南米、オーストラリアで実施中の試験の結果待ちだが、承認が得られれば年内にも販売を開始できるという。2人ともこの事業拡大に自信をもっており、21年半ばまでには従業員を、現在の70人から少なくとも20人増やす計画だ。

長期的には、さらにがんが生み出す酵素を研究し、価値ある製品開発に応用していく考えだ。現在研究中の酵素だけでも十数種類あり、それぞれが化学物質を生み出し可能性を秘めている。

そうした開発が成功すれば、ハントがポーカーで負け続けたことも無駄ではなかったことになる。

「すごい道のりだったよ。ポーカーがこんな結果につながるなんて、誰も予想しなかったはずさ」


ソリュージェン◎ゴーラブ・チャクラバーティとショーン・ハントが2016年に創業した、バイオケミカル会社。ゲノム編集した微生物や酵素を使ってトウモロコシ糖から化学物質を生み出し排水処理製品や肥料などを製造。コロナ禍では手指消毒剤も製造、医療現場に提供した。17年にはフォーブス「30アンダー30」、20年には「次の10億ドルスタートアップ」25社の一つに選ばれた。

ショーン・ハント◎ソリュージェンの共同創業者でCTO。マサチューセッツ工科大学(MIT)で化学工学のPh.Dを取得。化学製造プロセスに関する研究に取り組んでいた。恋人に会うためにボストンからダラスまで通い、ポーカーを通じてチャクラバーディと出会った。「この製法がユニークなのは、ほとんど砂糖由来の原料から、あらゆる種類の化学製品を作ることができる点です」と話す。

ゴーラブ・チャクラバーティ◎ソリュージェンの共同創業者でCEO。ブラウン大学でコンピュテーショナル・ニューロサイエンスの学位を、テキサス大学医学部でMD(医学士)と医学博士号を取得。すい臓がん治療薬の研究中、がん細胞中の過酸化水素水を生成する酵素を研究していた。生物分解性の肥料の開発にも取り組んでいる。父のゴペンドゥも化学エンジニアで実業家。

文=アレックス・ナップ 追加取材=クリストファー・ヘルマン 写真=フィル・クライン 翻訳=木村理恵 編集=森 裕子

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