竹崎:具体的に、その思い込みを排除する方法はありますか。
阿部:スポーツ選手は基本的にその競技が最優先なので、休みが少なくてスケジュールが拘束されるんですね。生活にルーティーンが生じるわけですが、そのルーティーンから意識して外れるというのはひとつの方法だと思います。例えば僕は大学生のときに、アメリカのサンディエゴへ3カ月間の短期留学へ行きました。
サッカーをやっている人にとって、3カ月練習を休むというのはタブー視されているのですが、1度そういう「道から外れること」をやってみたことで、やらないといけないと感じていたが案外そうではないと気付けたり、外の世界を見たことで新たな気づきがあったりして。実はいろんなやり方があると気付く機会になりました。
酒井:たしかに、海外に出るにしろ他の文化に触れるにしろ、サッカーをやりながらホリエモンのオンラインサロンに参加するでも何でもいいんですけど、スポーツをやっている間に他の分野や業界の人と話す機会をもっていないと、他の選択肢が想像できなくなるんでしょうね。私は話を聞いて情報を集めるだけでも十分だと思っていましたが、今の話を聞いて、実際に体験してみることが大事だなと思いました。
酒井潤氏
考え抜く習慣を持つことで活路を開く
竹崎:これまでの話のなかで、情報収集して、選択と集中を行い、分野を絞り込んで勝負していくことが大事だとわかりました。ただ、これって当たり前のことを言っていると思うんです。でも、皆が皆やれるわけではない。できる人とできない人を分ける差は何なのでしょうか。
阿部:戦略というとカッコよく聞こえますが、僕は、戦略とは「生き残る術」だと思うんです。スポーツで言えば、どうしたら勝てるか。これを考えることが大元にあると思います。例えば、僕は体があまり大きくないのですが、自分の強みを分析して、スピードと強さにフォーカスし、1対1では絶対に負けない、と決めました。
でも、こうやって考え抜くことは、当たり前に試合に出場できている人には難しいのかもしれません。もちろん、試合に出ているなかで、パスやキックの精度を探求しているような人はこういう考えに至ると思うのですが、全員がそこまで考えているとは限りません。一般の社会と同じで、なんとなく生きている人もいれば、そういうことを考えながら生きている人もいるのだと思います。