判決を受けたのは、主犯格とみられるヒテシュ・マドゥバイ・パテル被告。2019年に逃亡先のシンガポールから身柄を引き渡されたあと、米国で起訴されていた。
犯行グループは、米国の内国歳入庁(IRS)や移民管理局(USCIS)の当局者になりすまして被害者に電話をかけ、税金の未払い分がある、すぐに支払わなければ逮捕や送還の可能性があるなどと脅し、デビットカードやギフトカードを購入させたり、送金させたりしていた。
被害者の個人情報はソーシャルメディアなどから入手し、電話はIP通話技術「VoIP」を悪用して、インドからではなく米国の政府機関からかかってきたように見せかけていたという。詐欺は非常に成功し、財務省の当局者は2014年に「同種のものとしてはこれまでで最大規模」との認識を示していた。
パテルは詐欺に利用された複数のコールセンターを運営し、資金を拠出していたことについて罪を認めていた。また、被害のうち2500万〜6500万ドル(約26億〜68億円)を自身によるものと認めている。
この事件に絡み計24人が米国で有罪判決を言い渡されており、パテルは「インド側のトップで大半の被告にとってボス」だったとみられている。
テキサス州南部地区のライアン・K・パトリック連邦検事は、詐欺グループは「最も弱い立場にある人を食い物にした」と厳しく批判。コールセンターを利用した国境を越えた詐欺は捜査や訴追が複雑だが、米国の捜査機関にはそれを遂行する能力があると警告した。