中核事業に専念する
株主宛ての書簡で共同創業者らはこう表明した。「パンデミックが襲来した時、私たちは全てを従来通りに追求できないと悟り、エアビーアンドビー最大の特徴となる中核事業である宿泊ビジネスに注力することにした。一般の人々が自宅を宿泊施設にして体験を提供するという、エアビーアンドビーを真に特別な会社としているルーツへの回帰だ。ホストのコミュニティーの中核を直に支援しない投資は削減した」
この方針は極めて重要だった。パンデミックが深刻化すると、人々は地方での滞在を求めるようになった。これはエアビーアンドビーの強みが生かされる状況で、事業の復興における大きな要因のひとつとなった。
独創力の発揮
人は厳しい制約を強いられると、通常よりも斬新な発想が生まれやすい。これはエアビーアンドビーも同じだった。例えば、対面式の「体験」提供サービスが不可能となったことで、ライブ配信で参加する「オンライン体験」の立ち上げにつながり、人気の高いサービスとなった。
shutterstock.com
信頼
信頼はビジネスの成功には欠かせないが、危機的状況の中では最終的に信頼を損なうような短期的な財務上の決断に走りがちだ。
エアビーアンドビーも、キャンセルの急増により、難しい決断に直面した。というのも、予約の多くは返金不可と定められていたからだ。だがエアビーアンドビーは市場を支えるために、10億ドル(約1040億円)以上を投じて返金に対応。キャンセルによって損失を被ったホストに対する補償として最大2億5000万ドル(約260億円)を投じることも表明した。
長期的な楽観
パンデミックの初期段階では、エアビーアンドビーのビジョンへの自信を失うことは簡単だっただろう。しかし共同創業者らはそうした気持ちを許さず、長期的な展望は明るいと確信していた。
共同創業者らは、こう述べている。「危機に晒されることで、本当に重要なものが見えてくる。自分が持っているものだけでなく、自分のそばにいる人々に対しても感謝の気持ちが生まれる。私たちは、一番苦しい時期に寄り添ってくれた人すべてに感謝している」