デンバー本拠のビッグデータ分析企業パランティアは、9月30日にニューヨーク証券取引所にダイレクトリスティング(直接上場)を果たした。同社の株価は2日の急落以降も、IPO価格を137%も上回っている。同期間のS&P500とナスダックは、それぞれ9%と11%の上昇となっている。
モルガン・スタンレーのアナリスト、キース・ワイスは2日、パランティア株の急成長はファンダメンタルズの成長ではなく、空売りポジションをカバーしようと奔走する機関投資家から株を買い上げる個人投資家の強い関心を受けてのものだと述べた。
ワイスは、「投資家たちは、パランティアがソフトウェア企業なのか、魅力が劣るコンサルティング会社なのか疑問視している」と述べ、同社の評価を「中立」から「売り」に引き下げた。目標株価は15ドルから17ドルに引き上げたが、これは2日の終値を約25%下回る価格だ。
ただし、パランティアの見通しを懸念するのはワイスのみではない。その他の6社が発表する目標株価の平均は14ドルであり、最高でも18ドルだ。
著名な空売り業者であるシトロン・リサーチは先週金曜日(11月27日)、パランティア株について「株ではなく完全なカジノ」と述べ、20ドルで空売りしているとツイートした。
2003年にピーター・ティールらが共同創業したパランティアは9月に待望の新規株式公開を行い、7.25ドルで上場した。
ペンタゴンやCIA、ICE(合衆国移民・関税執行局)などの政府機関に、ビッグデータ分析技術を提供する同社は、政府の監視活動を手助けしているとの批判も浴びていた。今年の米大統領選でジョー・バイデンが勝利したことを受けて、メリアスリサーチのアナリストは、バイデンが国防費の削減に向かう見通しの中で、パランティアの現状の株価が「異常な高値状態にある」と述べていた。
ハイテク株は、3月の急ピッチな市場修正以降に猛烈な強気相場を形成してきたが、それはソフトウェア企業のIPO市場の活況ぶりにも反映されている。
しかし、大統領選挙後の数週間は、ワクチンの楽観論が浮上し、ワシントンの規制環境も良好になるとの見通しから、投資家の興味はハイテク株から金融やエネルギー、レジャー株にシフトし始めた。ナスダックのパフォーマンスは投票日以降、S&P500を下回っている。