選挙結果を覆すためのこうした試みはほぼ失敗に終わっているものの、これによって陣営が集めた金額は、少なくとも1億5000万ドル(約157億円)に達しているという。
米紙ワシントン・ポストとニューヨーク・タイムズはいずれも11月30日、トランプがこの呼び掛けを通じて集めた金額について報道。前者が1億5000万ドル以上とした一方、ニューヨーク・タイムズは匿名の関係者の話として、1億7000万ドルだと伝えている(フォーブスは金額についてトランプ陣営に問い合わせているが、確認は取れていない)。
「選挙防衛」への支援を要請
投票に続いて開票が始まり、民主党のジョー・バイデン候補の勝利が確実になり始めると、トランプは支持者に対する熱のこもった訴えを開始。続けざまに起こした何件もの訴訟を支えるために立ち上げた「選挙防衛基金」に献金してほしいと訴えた。
両紙はこの資金について、多くは陣営が献金を呼び掛けたのとは別の用途に使われる可能性があると指摘している。使い道には、今後のトランプの政治運動も含まれるという。
ただ、選挙防衛基金のただし書きを見ると、献金額が5000ドルまでの場合、その25%は共和党全国委員会(RNC)、75%はトランプが11月中旬に立ち上げたリーダーシップ政治行動委員会(PAC)の「セーブ・アメリカ」に分配されることが記されている。
ニューヨーク・タイムズはこれについて、「セーブ・アメリカ」への献金が5000ドルを超えた場合、その超過分が、大統領選で投じられた票の再集計などを実現させるために使われると説明している。
「セーブ・アメリカ」のような「リーダーシップPAC」(公職にある者、または公職に就こうとする候補者が設立)が受け取った献金は、政治活動資金としても、その他の候補を支援するための資金としても、あるいはその他のどのような用途にも、使うことができる。
このPACへの献金が今後どのように使われるかについては、明らかになっていない(トランプ陣営から、フォーブスの質問に対する回答は得られていない)。献金の一部はすでに、トランプ陣営のキャンペーンにかかった費用の支払いに使われたとも考えらえる。
ワシントン・ポストのアナリスト、フィリップ・バンプは、「基本的にこの資金は、何にでも使うことができる」として、次のように説明している。
「セーブ・アメリカが集めた資金は、一般的な選挙運動委員会への献金とは異なり、あらゆる形でトランプにとっての利益となる。ゴルフクラブの会費や旅行代、集会にかかる費用に充てることもできる。あるいは、トランプが収入として公表する限り、このなかから個人的に資金を受け取ることもできる。
再出馬を検討か
ミット・ロムニー上院議員(共和党、ユタ州選出)が、「静かに姿を消すことはない」との見方を示すなど、トランプの退任後の行動については、さまざまな臆測が飛び交っている。
多数のメディアが2024年の大統領選への出馬を真剣に検討しているもようだと伝えており、米ニュースサイト、デイリービーストは消息筋の話として、トランプは来年1月の新大統領の就任式の日またはその前後に、2024年の大統領選に向けた選挙キャンペーンのイベント開催を検討していると報じている。