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「007 サンダーボール作戦」(1965年)

世界興行収入:1412億ドル、製作費:900万ドル

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「007 サンダーボール作戦」のショーン・コネリーとマルティーヌ・ベズウィック(Photo by Sunset Boulevard/Corbis via Getty Images)

「007 ゴールドフィンガー」がショーン・コネリーの007を大ヒット・シリーズにした映画だとすれば、テレンス・ヤング監督の「007 サンダーボール作戦」はハリウッドから生まれた最大の作品のひとつに位置づけられる。ワイドスクリーン(2.35:1)で撮影された最初の007映画であり、「アカデミー視覚効果賞」を受賞し、いまだに高い評価を受けている水中アクションは見応えがある。

速いテンポで進んでいく話の中で、ヒーローは世界征服を企むスペクターと真っ向から対決する。このシリーズで「世界征服の陰謀」というプロットが使われるのはこれが初めてで、30年後に作られた「007 ゴールデンアイ」とも共通するが、ヒーローはこの壮大な陰謀にたまたま遭遇し、鋭い観察眼と一見無関係な事件をつなぎ合わせることでその陰謀を暴いていく。

ボンドが悪漢を絞め殺し、ジェットパック(噴射式飛行装置)を背負って逃走するオープニングは見事で、「ゴールドフィンガー」の3倍の製作費をかけたことがスクリーンから伝わってくる。また、女性の悪役(ルチアナ・パルッツィ演じるフィオナ・ヴォルペは、「007 ゴールデンアイ」でファムケ・ヤンセンが演じたゼニア・オナトップの原型であるのは間違いない)が、ボンドに救われたり誘惑されたりしても、正義の側に寝返らないところが私の好みである。

007映画の他の初期作と比べても、暴力的要素と戦いのシーンが十分すぎるほど盛り込まれており、水中でのクライマックスはいま見ても圧倒される。

さらに言えば、アドルフォ・チェリ演じるエミリオ・ラルゴは珍しく「自分の手を汚す」悪党で、陰謀の肝心な部分では部下と行動をともにする。ブロフェルドが彼をスペクターの「ナンバー2」にしたのはそのためだろう。

本作が「ファンタジー的ボンド映画」のベストであるのは間違いなく、12年後に「007 私を愛したスパイ」が公開されるまでは最も成功した作品になった。少々やり過ぎの感はあるが(初めて2時間を超えた作品だ)、あらゆる楽しみがこの映画には盛り込まれている。現実の世界を反映したアクション映画としては、最高の興行収益をあげた作品でもある。

翻訳・編集=中田しおみ/S.K.Y.パブリッシング/石井節子

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