マイクロソフトの「従業員監視ツール」に批判殺到、機能を削除

サティア・ナデラCEO(Stephen Brashear/Getty Images)

マイクロソフトは12月1日、同社のMicrosoft 365の新機能である「プロダクティビティ・スコア」が、従業員のプライバシーを侵害しているとの批判を受けて、各従業員のデータにアクセスする機能を削除すると発表した。

プロダクティビティ・スコアは、Microsoft 365のビジネスプランに加入した企業が、各従業員のマイクロソフト製品の利用動向を把握するためのツールで、上司たちは、例えば、従業員がMicrosoft Teamsを何時間利用したか、あるいは、先月の会議でカメラがオンになっていた回数などを確認可能になっていた。

この機能に関して各方面から強い批判が巻き起こった結果、Microsoft 365のバイスプレジデントのJared Spataroは公式ブログで、「今後はプロダクティビティ・スコアから、個々のユーザーの利用データにアクセスできなくする」と述べ、従業員を監視する機能を完全に削除すると宣言した。

その代わりに同社は今後、組織全体でのマイクロソフト製品の利用動向を28日間に一度、集計し、そのデータを提供していく。Spataroによると、同社はユーザーインターフェースを変更する予定で、これはプロダクティビティ・スコアが、個々のユーザーの行動ではなく、「組織全体のテクノロジーの採用度」を測るためのものであることを、より明確にするためだという。

「先週のフィードバックを受けて、当社はこの機能を完全に削除することを決定した。今後、プロダクティビティ・スコアの各指標(コミュニケーションやミーティング、コンテンツコラボレーション、チームワーク、モビリティ)は、組織レベルのデータのみを集計し、組織における各機能の導入度がはっきりと分かる指標を提供する」と、Spataroは述べた。

マイクロソフトは、プロダクティビティ・スコアが、「デジタルトランスフォーメーション」を推進し、特定の技術的な問題を診断したり、個別のアプリで問題を抱えている人を特定するために開発されたと述べている。

しかし、プライバシーの専門家たちはこのツールが有効になると、個人レベルの監視が可能になると述べていた。企業の上司たちに、各社員の行動を監視可能にするダッシュボードを与えることは、職場での監視行為の常態化につながるもので、このような行為は、パンデミック後にリモートワーカーを監視する手段として、ますます一般的になりつつあると彼らは述べていた。

編集=上田裕資

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