光文社の書籍から読みどころをピックアップ。本好きな人たちのためのコンテンツ。

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母でもあるAV女優がいたとする。ある日娘から、「これ、ママだよね?」と出演作からのスクショが自分の携帯に送られてきたら、彼女はどうするか──。

アイドル視され、今や憧れの職業にすらなりつつある一方、いまだに偏見も残るAV女優という生き方。そんなAV業界で最大のタブーが「家族」の話である。親にAV出演をどう伝えたのか、兄妹姉妹はどう思っているのか、子供には将来、自分の仕事を明かすのか──? 様々な立場の女優が赤裸々に語る背景にあったのは、他人に何と言われようとブレない信念と同時に「家族からは認められたい」という切実な思いだった。

ここでは、作家であり、映画「電車を止めるな!」原作者でもある寺井広樹氏がAV女優たちにインタビューして書き上げた『AV女優の家族』(光文社新書)について紹介する。


著者寺井氏は、本書の「はじめに」で以下のように書いている。

「もし自分の娘や妻、あるいは母親がAV女優になったら、その家族はどのような感情を抱き、彼女たちとどのような関係性を結んでいくのでしょうか。AV女優という職業を選択した彼女たちは、家族にどのような思いを抱いてその決断をし、その思いはAV女優になる前となった後ではどのように変化していったのでしょうか。

私は昨年(2019年)、学生や主婦、会社勤めをしながら副業としてAV女優をする女性たちにインタビューをし、『副業AV女優』(彩図社)という本を上梓しました。その際に、どこか特別視していたAV女優という職業の方々がすぐ身近にいることを知りました。30年ぐらい前まではAV女優といえば、身内とは縁が薄くお金を稼ぐためには脱ぐしかなかった人がなるといったどこか後ろ暗いイメージがありました。しかし、インタビューさせていただいた彼女たちは実に明るく、ポリシーとプライドを持ってこの仕事に臨んでいました。実際に業界関係者の方々に話を伺っても、今や「なりたい」と言っても簡単になれるわけではなく、AV女優になるためのハードルは年々上がっていると口を揃えます。AV女優という職業がアイドル化され徐々にタブー視されなくなり、憧れとすらなりつつある今、そこで働く彼女たちとその家族の実情が気になり、彼女たちにインタビューしてみたいと思ったのです」

身内にバレて引退、かたや「親公認」も


「はじめに」はさらにこう続く。

「そうは言っても実際に私の知人で、奥さんが家族に内緒でAVに出演していたのがバレて離婚された方もいます。同じように身内にバレて引退する女優さんもいまだ多くいらっしゃいます。一方で親公認、娘・息子公認で家族に応援されている女優さんもいるのです。その差はどこに由来するのでしょうか。壮絶な家庭環境に育ったのか、むしろ恵まれた家庭環境だったのか、あるいはどこにでもありふれた『普通』のご家庭なのでしょうか。両親、兄弟姉妹、祖父母らは彼女たちの仕事をどう思い、どういった関係を結んでいるのでしょうか。

文=馬場紀衣

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