ブラックフライデーをはじめ、ホリデーシーズンのセールはすでに始まっている。市場調査会社NPDグループの予測によれば、スウェットシャツ、スウェットパンツ、アクティブボトムス、スリープウェア、ソックスの売上が米国のアパレル消費に占める割合は、2019年第4四半期の26%から、2020年は31%に増加する見込みだ。
小売業界はこのトレンドをものにしようとしている。たとえばエアリーは、新たなアクティブアパレルブランド「オフライン(OFFLINE)」を立ち上げた。中価格帯デパートとしてメイシーズとライバル関係にあるコールズも、2021年3月にアスレジャーをテーマとしたプライベートブランド「FLX」の販売を開始する予定だ。
2020年10月までの米国のアパレル小売店全体の売上は前年比30%減、デパートの売上は17%減(商務省データより)という厳しい時期にあって、息の長いアスレジャーブームは朗報だ。
米投資銀行オッペンハイマーのアナリスト、ブライアン・ネーゲル(Brian Nagel)は最近のリポートで、「従来の衣料品やフットウェア、より品質の低いブランドから、より好調なアスレジャーブランドへという、長期的な市場のシフトが見て取れる」と言及し、ナイキやルルレモンもこのブームの恩恵を得るだろうと述べた。
こうしたトレンドは魅力的だが、率直に言って、業界全体の成長にはつながりそうにない。一部のブランドは膨大な売れ残り在庫で身動きがとれなくなり、値引きを余儀無くされるだろう。
ウェドブッシュ証券のアナリスト、ジェン・レディング(Jen Redding)は、「小売業者はアスレジャーの新規市場参入と供給の両方を増やしており、競争激化による商品利益率の圧迫が予測される」と述べた。