新規則は上場企業に対し、少なくとも1人の女性と1人の人種的マイノリティもしくはLGBTQを自称する人を役員に任命し、報告書を公表することを義務づけるものだ。
規則案によると、上場企業は規則の承認から1年以内に、役員メンバーの多様性レポートの開示を求められる。そして2年以内に、最低1人の人種的マイノリティもしくはLGBTQの取締役を持つことが義務づけられる。さらに、大企業の場合は4年以内に最低2人の多様性のある取締役を持つことが必須となる。
データを公表しない企業はナスダックから排除される可能性があり、多様性の要件を満たしていない企業はその理由を公表する必要がある。
ナスダックのアデナ・フリードマンCEOはニューヨーク・タイムズ(NYT)の取材に、SECがこれと類似した規則を導入することが望ましいと述べた。
フリードマンによると今回の決定は、取締役会の多様性を高めることが企業の財務パフォーマンスにプラスの影響を与えることを示すデータに基づいたものだという。
マッキンゼーの最新調査によると、ジェンダーの多様性で上位4分の1に位置する企業は、財務パフォーマンスが少なくとも25%高い傾向が2019年に確認されたという。さらに、人種のダイバーシティで上位4分の1に位置する企業は、同じ指標が36%高い傾向があった。
投資銀行のゴールドマン・サックスは今年1月、ダイバーシティをもたらす人材が取締役会に1人もいない企業の上場は支援しないと表明した。同社のデービッド・ソロモンCEOは、取締役会の多様性は極めて重要で、上場企業のうち取締役に女性を1人以上起用している企業は、そうでない企業よりも業績が著しく向上していると述べていた。
一方、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は9月30日、企業のダイバーシティ推進の一貫として、2021年末までに、上場企業に少なくとも1名の取締役を人種的マイノリティやLGBTQなどのコミュニティから採用することを義務づける法案に署名していた。