「ブランド史上初となるグローバル旗艦店」という位置づけは、伊達ではない。渋谷の文化村通りで2020年6月5日にオープンした「オークリーストア 渋谷」は、他では味わえない顧客体験が用意されている場所だ。「思想と社会性のある事業づくり」と「世界観にこだわる作品づくり」のふたつを軸として広告から商品プロデュースまで領域を問わずに手がける越境クリエイターであり、地上波ニュース番組のコメンテーターとしても活躍する辻愛沙子が訪れ、「オークリーストア 渋谷」を体験した。
トップ画像は、店舗2階に設営された「OAKLEY CUSTOM EYEWEAR LAB」にて撮影したものだ。数万通り以上の組み合わせが可能で、自分だけのサングラスが手に入る。今回、辻愛沙子をナビゲートするのは、オークリーのスポーツマーケティング部に属する永田隼也。マウンテンバイクで海外のレースにも参戦する彼は、常にフィールドの最前線でブランドのテクノロジーを体感している現役アスリートでもある。クリエイティブディレクターとアスリートによるツアーの始まりだ。
まず、永田が案内したのは1975年に誕生したブランドのヒストリーが凝縮されているショーケース。創業者のジム・ジャナードは「マッドサイエンティスト」の異名をもつ起業家であり、米国カリフォルニアの自宅ガレージで300ドルという僅かな資金でオークリーを立ち上げた。そんな彼の異名にも納得のいくアイコニックな名作の数々には、クリエイティブの世界に身を置く辻も大いなる刺激を受けたようだ。永田隼也(以下、
永田):この「MEDUSA™️」とネーミングされたモデル(写真右)は、2002年の作品です。取り外し可能なゴーグルとドレッドヘアが付いた革製キャップからできています。2000年のシドニーオリンピックでアスリートが着用した「OVER THE TOP ®︎」(写真左)は、頭頂部を乗り越えていくデザインが、いま見ても斬新に感じますね。
辻愛沙子(以下、
辻):確かにすごいですね。私は商品企画の仕事をすることもあるのですが、「こんなアイデア、なかなか出せないよ普通!」と思わずツッコミを入れたくなりました(笑)。機能だけでも、デザインだけでもない。両者が素敵な関係性にありますね。
これまでにオークリーのサングラスは、自身のコンディショニングのみならず、道具選びにも並々ならぬこだわりを見せる野球界のイチロー選手のようなトップアスリートたちに愛用されてきた。彼らが信頼を寄せる理由のひとつに、耐衝撃性の高さが挙げられる。レンズの破損は、深刻な怪我にもつながる。山の斜面を駆け下りるダウンヒルレースで優れた耐衝撃性の恩恵を受けてきた永田が、辻の足を使ってプレゼンテーションを試みた。永田:オークリーのサングラスに使われているレンズは、銃弾を撃ち込まれても破損しません。自分はマウンテンバイクのレースで転び、岩で顔面を強打したことがあります。それでも割れませんでした。この場で顔面強打のテストはできませんが(笑)、試しに足でレンズを思いっきり踏んづけてみてください。
辻:(踏んでは離すを繰り返しながら)本当ですね。ここ何年かは忙しくて行けてないのですが、私はスノーボードが好きで過去には1カ月ほど山にこもったりしていました。誰かと衝突したはずみで顔をぶつけることだってあり得るし、よく考えてみたら怖いですよね。でも、永田さんが岩に顔をぶつけても大丈夫だったというなら安心できます。この丈夫なレンズ素材で、iPhoneケースをつくってみたくなりました(笑)。
オークリーのサングラスは、シリアスなスポーツシーンのイメージが強い。だが、それだけではない。「“Science Wrapped in Art -サイエンスを優れたデザインというアートで包み込む-”」というコンセプトのもと、スポーツパフォーマンスとライフスタイルの両軸で楽しめるモデルが多数揃う。ハイブリッド感を象徴するモデルとして、ニューヨークのブルックリンを拠点に活動するアーティスト・山口歴とのコラボ作品などがある。永田:ここに並んでいる「Kokoroコレクション」(写真奥)は、フレームやテンプルの彩色でアーティスト・山口歴さんの作品を表現しています。彼ならではの筆の動きを再現するために、専用の機械を開発しました。特殊なスピン技法によって1点1点の仕上がりが異なるので、選ぶ楽しさがあって愛着も湧くと思います。
辻:山口歴さん、いまとても気になっていたところなんですよ。渋谷のパルコでエキシビションをやっていましたよね。こういったアート寄りのコレクションもあるなんて、オークリーに対する親近感が一気に湧いてきました。
オークリーの特許技術が生かされた「PRIZM™️レンズ」の体験ブース。オークリーが15年もの歳月をかけて開発した「PRIZM™️レンズ」は、太陽光のまぶしさを軽減しながらも細部まで鮮明に見せてくれる。しかも、シーンに合わせて特定の対象物のコントラストを強め、シャープに際立たせる。永田:タッチパネルで操作すると画面に「マウンテンバイク」「スキー」「ロードバイク」のシーンが映し出されます。それぞれのシーンに合わせた「PRIZM™️レンズ」を搭載したサングラスで、VR体験ができる仕掛けです。例えば、マウンテンバイクの場合は、土や木々の枝葉がくっきりと見えるようになります。他に「ゴルフ」や「フィッシング」に特化したレンズもあります。
辻:いや、びっくり。まぶしさが抑えられ、色の凹凸が立っていますね。(スキーのVRも試しながら)同じ白でも、掛けたときと外したときで見え方がまったく違います。雪面にあるギャップがくっきりです。
永田:本当に雪山に行ったときに、これだけ見えたら感動しますよ。
辻:この画面でも充分に感動しています。早く雪山に行きたくなりました。
「オークリーストア 渋谷」の1階エントランスから店内に入ってすぐ左には「EYEWEAR CLEANING」のマシーンを設置。顔の皮脂や汗、指紋などによってレンズが汚れているとクリアな視界を確保できない。オークリーではレンズクリーニングキットを販売しているので、これを使用するのもひとつの手だが、店舗に立ち寄ってマシーンに頼ってみるのもいいだろう。無料で使えて、ウィルスを99%除去するというのが、いまのご時勢にうれしい。そして、ふたりは再び「OAKLEY CUSTOM EYEWEAR LAB」に戻ってきた。やはり、辻は「最初からこのコーナーが気になって仕方がなかった」という。こちらでのサングラス選びの醍醐味は、フレームのパーツやレンズを好きなカラーで組み合わせることができる点。ここでは様々なラインナップから自分好みのモデルを選択し、フレームとレンズを自分色にできる。世の中には流通していないスペシャルな1本と出会えるのだ。辻:派手な色のフレームも気になりますし、クリアカラーのフレームもオシャレだと思うし、これは困った!
永田:最近はクリアなフレームに派手な色のレンズを入れるのが流行っていますよ。
辻:トレンドを意識しながら自分らしさを加えていくのもいいですし、最初から自分らしさ全開でいくのもいいですね!
永田:店舗で販売していないカラーリングのサングラスをその場で作成し、すぐに持ち帰っていただけるので、このラボはとても人気になっています。
辻:こんな体験ができるなんて、めっちゃ楽しい!自分ではなくて誰か他の人のことを思いながら選んで、プレゼントするのも素敵だと思います。これからは、プレゼントのオハコにしたいです(笑)。
辻のテンションを上げた「OAKLEY CUSTOM EYEWEAR LAB」がある2階には、度付きアイウエアのコーナーも。シリアスなスポーツシーンで培われてきた軽やかな掛け心地は、日常においても有効だ。2階には検眼ができるスペースもあり、専門のスタッフが対応してくれる。また、ウエアやキャップ、バッグといったアパレル類も揃っていて、フィットネスからデイリーまで着こなせるアイテムとも出会える。辻:オークリーの眼鏡って、かわいいモデルがたくさんあるんですね。
永田:とてもお似合いですよ。
辻:普段、眼鏡はフレームの色がシルバーとかブラックとか男の子っぽいものを掛けているけど、ちょっと冒険してみたくなります。
永田:これで「オークリーストア 渋谷」のツアーは終わりになりますが、いかがでしたでしょうか。今日は店内のほんの一部しかご紹介できませんでしたが、辻さんの新たな気づきにつながる体験になったのであれば、嬉しいですね。
辻:クリエイティブの仕事をしている者として、本当に勉強になるところが多かったです。機能性はもちろんなのですが、デザインに対する想いもすごく伝わってきました。アートやカルチャーに対してのリスペクトもあるブランドだと感じました。左脳的な理性と右脳的な感性を併せもっているブランドって、意外と少ないじゃないですか。かわいいけど靴ずれしてしまうパンプスなんて、結局は履かなくなってしまいますからね。今日は、想像以上にオークリー沼にはまってしまいました(笑)。
写真右/楽しく悩みながら、辻が「OAKLEY CUSTOM EYEWEAR LAB」で選んだサングラスがこちら。ベースになっているモデルは「フロッグスキンライト」。ライフスタイルモデルの定番として愛される「フロッグスキン」のアンダーリムを取り払い、さらに広い視野を確保。辻は「フレームは最近気になっている色のグレーにして、男女を問わない中庸な色として昔から好きなパープルのレンズを合わせてみました」とカラーリングのポイントについて語っている。¥20,700~
写真左/今回、数ある「かわいいモデル」のなかから選んだ眼鏡は「マネークリップ」。テンプルの内側にマネークリップを思わせるパーツがあしらわれている。眼鏡をはずした際、このパーツを胸元などに引っ掛けておけば、落下事故が防げる。フレームはチタニウム製なので、軽くて堅牢だ。¥48,200~ルックスオティカジャパン(オークリー)☎︎0120-009-146
オークリーストア 渋谷
住所:東京都渋谷区道玄坂2-29-22 1F/2F
電話:03-6427-0930
営業時間:11:00 - 21:00
つじ・あさこ◎arca CEO、クリエイティブディレクター。社会派クリエイティブを掲げ、広告から商品プロデュースまで領域を問わず手がける。報道番組『news zero』水曜パートナーとして出演中。
ながた・じゅんや◎幼少期よりマウンテンバイクに親しみ、現在はエンデューロ競技の国内第一人者として国内外でレースに参戦。2020年はエンデューロナショナルシリーズで総合優勝を果たす。