ショーン・コネリーのジェームズ・ボンド 「007」を振り返る

愛車のアストン・マーティンDB5の隣でポーズを決める、ショーン・コネリー演じるジェームズ・ボンド。1964年にユナイテッド・アーティスツが配給した「007 ゴールドフィンガー」から。Photo by Michael Ochs Archives/Getty Images


「ネバーセイ・ネバーアゲイン」(1983)

世界興行収入:1.6億ドル、製作費:3600万ドル

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「ネバーセイ・ネバーアゲイン」のショーン・コネリーとキム・ベイシンガー。(Photo by Sunset Boulevard/Corbis via Getty Images)


この作品は、他の007映画とは違ってワーナー・ブラザースの製作である。監督はアーヴィン・カーシュナー(「スター・ウォーズ/帝国の逆襲」など)、脚本はロレンツォ・センプル・ジュニア(「パララックス・ビュー」、「コンドル」など)。

「007 サンダーボール作戦」のリメイクであるのは、製作総指揮のケヴィン・マクローリーが「サンダーボール作戦」の映画化権を持っていたからだ。53歳のショーン・コネリーが自分をスターにした役柄に久々に復帰、現在流行している「ジェームズ・ボンドは現代社会で成功できるか」というテーマを時代を先どりして演じている。

新任のM(エドワード・フォックス)はボンドをひどく嫌っており(ボンドが教官になって現場に出ないことを望んでいる)、不健康なボンドに悪徳(赤身肉、酒など)をやめて食事療法や運動療法を始めるよう命じる。幸い、悪の組織スペクター(マックス・フォン・シドー演じるブロフェルドが率いている)が2個の核弾頭を盗んだおかげで、ボンドに自分の力を証明するチャンスがめぐってくる。

「007ダイヤモンドは永遠に」の12年後にコネリーがふたたびボンド役を引き受けたことをとやかく言う者はいるだろうが、それ以外の俳優(クラウス・マリア・ブランダウアーやキム・ベイシンガーなど)は上質のスパイアクション映画を作ることに真面目に取り組んでいる。

だからといって、物珍しさを忘れてしまうほど出来がいいというわけではない。「007 ゴールデンアイ」や「007 スカイフォール」で強調されていた「スパイ活動は若者の仕事」という考え方に反しているのも欠点のひとつだ。

とはいえ、アクション・スリラーとしては「007 ダイヤモンドは永遠に」よりも楽しめるし、水中アクションは18年前の「007 サンダーボール作戦」に劣らないほど素晴らしく、マクローリーにもう1本、「サンダーボール作戦」のリメイクを製作してもらいたいと思うほどだ(「WARHEAD」なるタイトルのリメイク作品がティモシー・ダルトンの主演で準備されていたらしい)。さらに、ローワン・アトキンソンがカメオ出演をしており、彼がのちに出演する「ジョニー・イングリッシュ」のシリーズは、この暴力的でときに血なまぐさいアクション映画が原型であり前日譚であると言われている。
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翻訳・編集=中田しおみ/S.K.Y.パブリッシング/石井節子

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