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I study technology disruption in individuals, companies and societies.

Photo by Drew Angerer/Getty Images

セールスフォース・ドットコムによるスラック買収交渉は法人向けソフトウエア業界に揺さぶりをかけるものであり、業界大手マイクロソフトの戦略が試される刺激的な可能性を秘めている。

マイクロソフトは2016年、スラックを80億ドル(約8300億円)で買収することを検討したが、ビル・ゲイツは内部での開発を優先すべきだと助言した。同社はまずスカイプを改善させ、さらにチームズを開発した。マイクロソフトは過去にセールスフォースを史上最高額の550億ドル(約5兆7000億円)で買収しようと試みたが失敗に終わっている。セールスフォースは2016年、リンクトインの買収を試みたものの、マイクロソフトに僅差で競り負けた。セールスフォースはマイクロソフトのリンクトイン買収が独占行為に当たると申し立てたが、この訴えはすぐに退けられた。

今年6月にはスラックも、マイクロソフトによる独占を指摘。同社がオフィス製品の一部としてチームズのインストールを各企業に強いている可能性があると主張した。

そして今度は、セールスフォースがスラックを買収しようとしている。新型コロナウイルス流行の影響で利用が増加したことですでに高騰していたスラックの株価は、ここ1週間で30ドル前後から40ドル超へと上昇。現在の時価総額は240億ドル(約2兆5000億円)だが、最終的には170億ドル(約1兆8000億円)前後に落ち着くだろう。

セールスフォースにとって、スタートアップ企業の間で人気の高いスラックの買収は、法人向けコミュニケーション市場開拓の追い風となる。セールスフォースのクラウドソフトは大企業やその関連企業に広く利用されており、市場を中小企業へも広げられる可能性への関心は非常に大きい。セールスフォースの法人向けソフトはほとんど全ての分野をカバーするものの、基本的には外部向け企業活動(CRM、顧客、サプライヤーなど)の管理を支援するもの、一方のスラックは主に社内コミュニケーションなど内部向けの企業活動を支援するものであるため、両社のソフトウエアは戦略上の相性が良い。

編集=江戸伸禎

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