11月30日に開示された提出書類によると、ドアダッシュは3300万株を1株あたり75ドルから85ドルのレンジで売り出す予定だ。シューは発行株式の4.6%を所有し、共同創業者のアンディ・ファン(28)とスタンリー・タン(27)がそれぞれ4.2%を所有している。
今年6月の資金調達後に企業価値が160億ドルと評価されたドアダッシュの上場後の時価総額は、230億ドルから320億ドル(約3.3兆円)に到達し、今年最大級のIPOとなる見通しだ。
ソフトバンク・ビジョン・ファンドやセコイア・キャピタル、シンガポール政府の投資部門の支援を受けるドアダッシュは、パンデミックの追い風によって今年の売上を昨年の2倍以上に伸ばし、年初から9月末までに19億ドルの売上をあげた。
中国人の大学教授と医師の間に生まれたシューは1989年に、5歳で家族と共に米国に移住した。その後、彼の父親はイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校に通い、航空工学の博士号を取得したが、中国で医師をしていた母親は米国で開業することができず、地元の中華料理店などで働いた。
カリフォルニア大学バークレー校を卒業したシューは、その後、スタンフォード大学のビジネススクールで学び、そこで出会ったメンバーと、2013年にレストランで働く人々を支援するアプリを立ち上げた。
ドアダッシュは現在、39万軒のレストランと契約を結び、月に1800万人の顧客に食事を届けている。同社はこの分野の競合と同様に、現在も赤字を抱えており、2020年の最初の9ヶ月間で1億4900万ドルの純損失を報告した。しかし、赤字額は2019年の6億6700万ドルから減少している。
ドアダッシュの競合のポストメイツも、今年2月にS-1書類を提出し上場を目指していたが、6月にウーバーが26億5000万ドルで同社を買収していた。
調査会社Second Measureによると、今年9月時点のドアダッシュのフードデリバリー市場でのシェアは、49%だった。これに対し、ウーバーのシェアは22%、GrubHubは20%だった。
「フードデリバリー企業は、パンデミックの追い風によって業績を拡大中だ。感染拡大の第2波が全米を襲う中、この分野の企業は業績を伸ばしている。新型コロナウイルスはフードデリバリーの黄金期をもたらした」と、Wedbushのマネージングディレクター、ダン・アイブズは述べた。