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ロールス・ロイスが原子力発電事業に乗り出し、16基の高性能小型原子炉の建設を進めている。その発電量は大型の原子炉を上回り、1基あたり最大出力44万kWのエネルギー生産が見込める。

イギリスの公共放送局BBCは、ロールス・ロイスが先導役を務める小型モジュール炉(SMR)開発企業連合の発表を受けて報道を行った。本プロジェクトを推進するのがこの連合であり、イギリスで16基のSMRを建設する計画が制定された。


ロールス・ロイスがイギリスで16基のSMRを建設


ロールス・ロイスの試算によると、本プロジェクトではイギリス中部のミッドランドで6000人の雇用創出を見込めるという。さらに、今後5年間でこうした雇用機会を北部へと確実に拡大していく予定だ。英首相は、このSMR建築プロジェクトに最低でも2億6200万ドル(約272億円)の助成金を出す意向を示している。本プロジェクトが、国家経済の回復策である環境計画の達成に役立つと見込まれているのだ。

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Getty Images

最高品質を誇る自動車メーカーのロールス・ロイスは(厳密にはロールス・ロイスは1906年の創業後、航空機や船舶用エンジン製造などを手掛ける工業部門と自動車部門に分社化されている)、将来的にSMRが輸出産業を後押しする可能性も期待できると述べた。また、技術力によって低炭素のエネルギー開発がかなう勝算もあるという。世界的な気候変動がゆるやかにもたらす影響に留意しながら、時間をかける必要がある。

同社のSMR開発企業連合には、建設会社のレイン・オルークや英国国立原子力研究所なども名を連ねている。この連合は2019年、SMRの設計に着手するためにおよそ2300万ドル(約23億9300万円)の資金提供を受けた。

イギリスの電力源の約20%を占める原子力


イギリス政府は、2050年までに気候変動対策および温室効果ガス排出量の実質ゼロ化を達成するには、新たな原子力発電源の開発がきわめて重要だと断言している。

今回の新たなモジュール炉は、閉鎖が予定されているイギリスの原子力発電網の代替となるだろう。同国で稼働中の原発は1基を除いて、2030年までにすべて廃炉になる予定なのだ。

翻訳=神原里枝 編集=石井節子

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