外出禁止令で「コロナ制圧は無理」、米専門家からも異論噴出

Photo by Barry Chin/The Boston Globe via Getty Images

新型コロナウイルスの感染の再拡大が全米を襲う中、各州は人々の外出を制限する措置を再び導入しているが、一部の専門家たちは「外出禁止令には効果がない」との主張を展開し始めた。

米国では11月23日時点で、カリフォルニア州やマサチューセッツ州、ニューヨーク州、オハイオ州を含む多くの都市や州で、レストランやバーに深夜に人が集まることを防ぐため、夜間外出禁止令が敷かれている。

しかし、この措置が本当に有効であることを示すデータは乏しく、公衆衛生の専門家たちも効果については意見が分かれている。

カリフォルニア大学バークレー校の臨床学教授のJohn Swartzbergは、夜間外出禁止令に賛成だ。「午後10時以降に飲食を行う人々は、予防措置を怠る傾向がある」と彼は話した。

しかし、ジョンズ・ホプキンス健康安全保障センターの上級研究員のAmesh Adaljaはそもそも、この規則を人々が遵守することに懐疑的だ。「彼らはバーやレストランの代わりに、誰かの家に集まって、飲食することになる。その場合は、公共の場所での飲食よりも、さらに大きな感染拡大を引き起こしかねない」

Adaljaはさらに、「夜遅い時間になると、人々の行動が変化するというようなデータは、確認されていない」と述べた。また、「感染拡大の動向が、夜10時を境に変化することもあり得ない」と続けた。

ハーバード大学 T.H.チャン公衆衛生大学院のWilliam Hanageも、USAトゥデイに対し「1時間程度、会食のための時間を減らしたとしても、さほどの効果は期待できない」と話した。UCバークレーの公衆衛生担当のLee Rileyも、メディアの取材に「外出禁止令にはうわべの効果しか期待できない」と述べている。

「私個人はこの制度が、どのような意図で設計されたのか理解できないし、期待されたような効果は得られないだろう」とAdaljaはフォーブスの取材に話した。

「この措置は失敗に終わり、もっと強力な措置が必要だと彼らは言い始めるだろう。しかし、プライベートな集まりで感染拡大が起こったとしても、専門家が個人の家に立ち入ることは出来ない。全く別の戦略を取る必要が出てくるだろう」と、彼は続けた。

パンデミックの第3の波が全米を襲う中、いくつかの州の医療システムは飽和状態に直面しており、各州は、外出禁止令を含む様々な対策に乗り出している。ロサンゼルスでは、対面式の飲食が一切禁止され、ニューヨークは学校を再び閉鎖した。他の州も、社交的な集まりを制限している。

一部の共和党員らは、これとは真逆のアプローチを主張し、経済活動をシャットダウンしないことを求めている。

編集=上田裕資

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