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中国政府は2020年11月18日、総額40億ユーロ(約4973億円)のユーロ建て国債を最低利回りで発行した。そのうちの目玉は、7億5000ユーロ分の5年債だ。発行価格は100.763%で、満期を迎えると額面金額の100%が償還される。

つまり、この国債はマイナス0.15%の利回りで発行されたわけだ。しかも、満期までにインフレに見舞われ、「実際の」利回りが低くなる結果になっても考慮はされない(出典:『フィナンシャル・タイムズ』紙、2020年11月18日)。

利回りに貪欲な投資家たちは、列をなしてこの債権を買いに走った。というのも、利回りがマイナス0.50%のドイツ国債と比べればマイナス幅が小さく、お買い得に思えたからだ!

筆者は2019年夏に米Forbesに執筆した際、ドイツ政府が発行するマイナス利回りのユーロ建て長期国債(ブンズ)にかなりの需要があることに驚きを禁じ得ないと書いた。現実は、想像よりもいっそうの驚きに満ちている。中国がマイナス利回りの国債を発行すると、投資家たちはお金を貸すという名誉のためだけに、それを買おうと列をなしたのだ。

もちろん、彼らが中国政府に宛てて実際に小切手を送るわけではない。投資家たちが、のちに償還される額面よりも多い購入金額を支払うということだ。正確に言うと、投資家は5年後に(おそらく)受け取るであろう100ユーロにつき、今すぐ100.75ユーロ強を進んで支払おうとしている。この余分な0.75ユーロがマイナス利回りと言われるゆえんだ。

ここ数年にわたり、米国と中国のあいだには地政学的な問題が持ち上がっているため、中国は保有する大量の米国債を売り払い、分散させるのではないかと、投資家は目を光らせてきた。現時点では、売却の兆候は、たとえあったとしてもほんのわずかだ。それは良い状況だ。米国債の一部が大量売却されたとしたら、市場は続きがあると予測するため、価格に大きな影響がおよぶ可能性がある。

米連邦準備制度(FRS)が事実上、現代貨幣理論(MMT)を採用している状況下で、中国には、保有する米国債を売却しない合理的な理由が存在する。米国の納税者は、価格が上昇し続けている米国債を連邦準備制度を通じて買い入れており、その額は月に1200億ドルにも上っているのだ! 言い換えると、米国債は基本的に額面金額が維持されると保証されているわけだ。

翻訳=ガリレオ

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