「仕事」でなく「作品」を。写真家 田島一成がアートの世界に挑む

写真家 田島一成(たじま かずなり)


ニューヨーク時代から現代アートにハマり、ギャラリーにも通っていたが、その“中の世界”に入るのは初めて。長澤へのプレゼンの際は、「どんな見せ方が正解かわからなくて」と試行錯誤し、A3サイズにプリントした数十枚の写真と、1枚はパフォーマンス的に巨大サイズのプリントを持って行ったという。

話が決まってからは一気に動き出した。撮りためた数千枚の中から、全体のバランスも考えながら選び抜き、丁寧に仕上げていった。今回の展覧会に向けて選ばれたのは48点、会場ではその半分の24点を、2期にわけて展示する。

「本来は拳サイズぐらいの花が、1m×1mサイズの作品になります。いずれの会期も1点だけ、さらに大きく1.4m四方の大きさにするのだけど、それは結構迫力がある」


写真集「WITHERED FLOWERS」の表紙にもなっている作品 (c) Tajima Kazunali, Courtesy of Akio Nagasawa Gallery

オープニングと同日に発売される写真集(限定900部、全48作掲載)には、創作のきっかけを与えてくれた坂本の序文が載る。「ずっと坂本さんの写真を撮っているし、仕事もご一緒しているけど、自分から何か頼むのは初めてで、緊張しましたね。いつもやりとりはLINEだけど、こういうときはメールかなと(笑)」畏って依頼した。

その際に坂本に作品を見せると、「僕はこの写真を見て、アーヴィング・ペンの花を思い出してしまうのだけど、田島くんはどう思う?」と言われたという。

ファッション写真界の巨匠として知られるペンは静物の作品も多く、中でも写真集『FLOWERS』は、「すべての写真家のバイブルみたいなもので、マスターピース。僕もアーヴィング・ペンを尊敬しているし、影響も受けているけれど、作品が完成してから久しぶりにその写真集を開いて、全然違うな、と思った」と田島は語る。

ファッション写真に憧れてこの世界に入り、それ極めてきた田島が撮る“枯れた花”の写真たち。あなたはどのように見るだろうか。

田島一成「WITHERED FLOWERS」展
会場:Akio Nagasawa Gallery Aoyama
東京都港区南青山5-12-3 Noirビル2F
会期:2020年12月3日(木)〜 2021年1月30日(土)
開廊時間:木〜土 11:00–13:00, 14:00–19:00

編集=鈴木奈央 写真=小田駿一

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