新型コロナ対策、「検温」に頼ってはいけない理由

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CDCはそのための費用として、DHSにおよそ5700万ドル(約59億円)を送金している。

さらに、発表された調査結果は、スクリーニングが引き起こしたとみられる混乱・遅延によって生じたコストを考慮していない。高額の費用がかかる一方、得られる効果は薄いとして、CDCは9月14日付けで、スクリーニング・プログラムを中止した。

調査結果が意味すること


CDCが発表した調査結果が示すのは、発熱などの症状の有無を調べるだけでは、多くの感染者を特定することはできないということだ。

体温の測定は、感染を確認するための優れた方法ではない。平熱だからといって、感染していないとは限らない。その後に発熱するかもしれないし、まったく発熱しないかもしれない。あるいは、アセトアミノフェンやイブプロフェンなどの解熱剤が効いていたのかもしれない。

また、先ごろ行われた米大統領選を巡る世論調査などでも明らかになっているとおり、すべての人がすべての質問に正直に答えるとは限らない。空港でのスクリーニングだけで、新型コロナウイルスが機内に持ち込まれるのを防ぐのに十分だとみるのは、考えが甘いと言えるだろう。

スクリーニングを行っても、ソーシャルディスタンスを取ることやマスクを着用すること、手指を清潔に保つこと、積極的に施設内や機内を消毒する必要があることに変わりはない。

さらに、感染防止対策は、より広い地域をカバーするよう、多くのコミュニティーと協調して実施することが重要だ。

編集=木内涼子

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