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2020.11.28

東京駅「虫グルメフェス」に行ってみた 記者の「昆虫食」満腹レポート

コオロギが1〜2割入っている3種のハンバーグ


なぜ、いま「昆虫食」なのか


さて、今までもそうした伝統はあったものの光が当たらなかった昆虫食が、最近になって急速に注目されるようになった。なぜいま、これまで食べ付けなかったものがプッシュされるようになったのか。端的に言うと、環境負荷が小さくなるからだ。

雑食である私たち人間は、栄養バランスを考えると植物性の食品だけでなく動物性のものも大いに食べたいところ。しかし、穀物をそのまま食べるのと、穀物を家畜に食べさせてからその家畜を食べるのでは、使う水の量も、排出される二酸化炭素の量も格段に違う。

加えて、ウシなどの反すう動物は、胃で微生物に植物の繊維を分解させて栄養にするとき、二酸化炭素よりも温室効果が大きなメタンを発生させる。

世界規模で見れば人口が増える一方、水資源は有限で貴重だし、異常気象のことを考えると温室ガスの排出量は抑えたい。

そこで、家畜に比べて小さくて養殖に場所も取らず、すぐに育ち、変温動物なので恒温動物の家畜より「燃費」がよいからエサも節約でき、可食部も多い高たんぱく源である昆虫が環境負荷の小さい食材として脚光を浴びている。

そんなわけで、今回の虫グルメフェスでは昆虫食を「最高のサステイナブル(持続可能性)&ダイバーシティ(多様性)フード」と位置づけ、「insect cuisine(インセクトキュイジーヌ)」という新しい食のカテゴリー確立を目指すという。

これからも続く、昆虫食ムーブメントの挑戦




今回の「虫グルメフェス」にはVol.0と銘打たれている。環境問題など数あるSDGsの一分野として昆虫食に取り組むにあたり、この動きがどの程度受け入れられるかのトライアルとしてプレ開催であり、来年以降、一般に向けた本格的なフードフェスとしてだけでなく、ビジネスセミナーの要素も含めて発展させていきたいと、実行委員会の株式会社サニーサイドアップ、中山隆久チーフエグゼクティブプロデューサーは話す。

コロナ禍の中での開催でもあり、今回はブース窓口には透明ビニールシートを張り、テイクアウトの提供のみとなるが、多様な食文化としての昆虫メニューの数々が一堂のもとに会し、一度に体験できる貴重な場となるだろう。

11月29日(日)18時までの会期中、毎日専門家によるステージセッションも行われ、昆虫食の世界をトークで知ることもできる。フェスの詳細は公式ウェブサイトを参照されたい。

文・写真=縄田陽介

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