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超小型衛星を活用したIoT通信ネットワークの構築を目指すスタートアップがオーストラリアの「Myriota(ミリオタ)」だ。同社は、地上から約600キロの軌道に超小型衛星を送り込み、風力発電所や船舶、農場、そして絶滅の危機に瀕したサイなどの野生動物から発信されるデータを収集し、90分に1回の頻度で地球に送り届けようとしている。

イーロン・マスクのスペースXは、小型衛星を用いたインターネット接続を一般家庭に普及させようとしているが、Myriotaが実現を目指すのは、IoT機器に特化した衛星通信ネットワークの構築だ。同社はそれを、極めて低いコストで提供しようとしている。

「このような仕組みは以前からあるが、既存のシステムはバッテリー寿命が短く、データのセキュリティ強度も低く、データが取得可能なエリアも限られている」と、Myriotaのエンジニアリング部長のSteve Winnallは筆者の取材に話した。

今年4月のシリーズBラウンドで1930万ドル(約21億円)を調達した同社は、今後の2年で25基の超小型衛星で構成される通信ネットワークを構築する計画だ。Myriotaのトラッキングモジュールは1個が50ドル程度で、内蔵のバッテリーは10年以上も通信を持続可能という。

同社はこのテクノロジーを、船舶や工場を保有する企業、農場のオーナーなどに売り込もうとしている。

「あなたが仮に農場のオーナーで、毎日90マイルの距離を移動してタンクの中の水の残量を確認しなければならないとしよう。当社の仕組みを用いれば、自宅に居ながら水の残量を確認可能だ」と、Winnalは話す。

MyriotaのIoT通信システムは、風力発電所のメンテナンスなどでも威力を発揮する。風力発電の設備は一般的に、都市から遠く離れたインターネットが届かない場所に設置されており、機器の監視や点検には膨大なコストが必要だ。

同社は2013年に、世界初のIoTデータの送受信に特化したナノサテライト(超小型衛星)を開発し、この市場に乗り込んだ。それぞれの衛星は1日あたり1億件のデータを処理可能で、地上に設置されたモジュールからリアルタイムで信号を受け取れる。

Myriotaは今年4月に、カナダの競合のexactEarthを買収し、軌道上の衛星4つに加えて世界6カ所の地上局を入手した。これまでに累計4000万ドル近い資金を調達した同社は、2021年に米国で拠点を開設しようとしている。

編集=上田裕資

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