ステラ・マッカートニー、アディダス、それにグッチやサンローランなどを擁するラグジュアリー・ブランドグループのケリングは昨年、初の業界横断的な取り組みとして、マイロに投資し独占的アクセスを確保するための提携を発表した。
新たに設立されたコンソーシアムの一環として、これらのブランドは、それぞれ数百万ドルの資金を投じてマイロの生産体制を強化し、商業的に成立する規模でマイロを製造できるサプライチェーンを構築することに合意した。
「物理的な製品の製造技術であるため、スケールアップには時間がかかりますし、細部にまで気を配る必要があります」と、ボルト・スレッズのウィドマイアーは言う。「最初の製品が、我々が期待する質と量でブランドから発売されるのは数年先になるでしょう」
加えて、規模の拡大はコストの増加につながる。ファッション分野で一般消費者を獲得できるかは、サステナブル・テクノロジーのコストを、既存の素材に対抗できるレベルに抑えられるかどうかにかかっている。
それでもウィドマイアーは、中期的視点においても楽観的だ。「持続可能な素材は急速に普及するでしょう。消費者需要は確実に存在します。我々の使命のひとつは、こうした素材をできるだけ早く、人々の手が届くものにすることです」と、彼は言う。
ステラ・マッカートニーも同意見だ。「多くの人々がレザーを高級製品の証と考えていますが、わたしは当初から、違う方法で取り組みたいと思っていました。ファッションのために動物を殺すことは、単純に言って受け入れられないからです」と彼女は述べ、「マイロ製品を市場に送り出すのが待ち遠しいです」と語った。
「40億年にわたって地球上で展開してきた進化から我々が着想を得ていることは、詳しく説明するまでもなく、ご想像がつくでしょう」と、ウィドマイアーは言う。「我々が、潜在的な可能性のほんの一部をひっかいているにすぎないと言うとしたら、それは控えめすぎる表現です」