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I cover the business of fashion in Europe

optimarc / shutterstock.com

サステナブル・ファッションに関して言えば、革製品業界は模範的とは言い難い。

全世界で4140億ドル(約43兆円)の規模とされる革製品市場では、倫理面や環境面における懸念の高まりから、業界全体で自然環境と動物への配慮を推進する動きはあるものの、いまだに動物性皮革が大半を占めている。

「本革」を使ったファッションに魅力を感じる人は今でも多いが、皮革生産の副産物は温室効果ガスを排出する。また、(とくに家畜飼育を通じて)有限の天然資源を消費し、なめしや染色の過程で環境汚染を引き起こす。

解決策のひとつは、言うまでもなくヴィーガンレザーだ。しかし、ヴィーガンレザーの評判は、必ずしも皮革と比べて良いとはいえない。一部のブランドは、植物由来の代替素材の開発に出資しているものの、世界でもっとも広く普及し使用されている「ヴィーガンレザー」はポリウレタン(PU)であり、それ自体が使い捨ての汚染物質に他ならない。

化石燃料由来の「PUレザー」は、大気中に有害物質を放出するだけでなく、ゴミ埋立地に行き着いた後、生分解されるのに何百年もかかる。

いわゆる「意識の高い消費者」にとって、ポリウレタンは理想の選択肢とは程遠い。一方、バイオテクノロジー企業のボルト・スレッズが開発した代替レザーは、大手ファッションブランドから注目と投資を集める、特別な素材だ。

「アンレザー(非動物性皮革)」であるマイロ(Mylo)は、3年の歳月と約4000回の試行錯誤を経て完成した。マイロは、代替レザー市場のどの製品とも異なる。菌糸細胞(菌類の成長の際に伸びる「根」)におがくずを与えて育て、いったん休ませてから収穫するという、2週間のサイクルで生産されるのだ。これまでで最も「自然」で、無限に再生可能なプロセスだ。

ボルト・スレッズは、2017年に最初のイノベーションを果たした。実験室で生成したタンパク質、発酵酵母、砂糖、水を使って、クモの糸を人工的に再現したマイクロシルク(Microsilk)を開発したのだ。

この素材に注目したステラ・マッカートニーは、マイクロシルクを使ってドレスをデザインしたが、それ以外には業界にほとんど影響を与えなかった。

しかしボルト・スレッズは、マイロでついに大成功を収めた。

ボルト・スレッズのダン・ウィドマイアー(Dan Widmaier)CEOは、「マイロに触れると、天然皮革に触れているのと同じように感じます」と言う。「多くの人は、触っただけではマイロと革の違いを区別できないでしょう」

翻訳=的場知之/ガリレオ

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