Close RECOMMEND

国際モータージャーナリスト「ライオンのひと吠え」

白煙をあげドリフトする日産240SX。当時のドリフターたちの人気車種だった

日本から発祥した自動車文化は2つある。ひとつは1997年に登場したドライビングゲーム「グランツーリスモ」。もうひとつは、タイヤを横滑りさせながら走行するテクニークである「ドリフト」。今回の記事では、海外から見たドリフトにスポットを当てたいと思う。

「ドリフト」は、日本人にはほとんどと言っていいほど、説明する必要はないだろう。でも、海外では、実は英国BBCの人気自動車番組「トップギア」で紹介される1994年までは知られていなかった。自動車文化が生まれた欧米では当然、タイヤを横滑りで走行することは、レースでもラリーでも100年以上前からあった。でも、海外では、その現象は「パワー・スライド」とか「カウンターステア」と呼んできた。

しかし、1994年に全てが変わった。

その年、世界一有名なモーター・ジャーナリストと言われているジェレミー・クラークソンが、彼の番組「トップギア」で「Motorworld Japan」という日本特集を撮影するために来日した。その時、1988年から在日ジャーナリストとして活動していて、日本の自動車業界に詳しく、日本語が話せるということで僕が同番組のコーディネーターに起用された。

日本独特のカーカルチャーを紹介したいというクラークソンは、僕が提案したいくつかのアイデアの中から、世界一効率の良い駐禁移動のレッカー車、当時海外に輸出されていなかった日産スカイラインGT-Rの凄さ、渋滞問題、ヤクザはどうして左ハンドルのSクラスに乗るのか、そして「ドリフト」というネタを取り上げてくれた。

ジェレミーの当時の画像
No.1自動車番組と言われる「トップギア」を率いるジェレミー・クラークソン。当時の映像はさすがに若い!

その中でも特に時間をかけて「徹底的に撮りたい」と言われたのは、他の国にない日本らしいドリフトだった。

80年代に峠などで初めて現れたローリング族の現代版を見せたいと思って、僕はクラークソンを筑波山で披露されるドリフト族の現場に連れて行った。スキール音を激しく上げながら、コーナーに進入して豪快なドリフトをする若者を見た時、彼は驚きを隠せなかった。

その翌日、ドリフトキングこと土屋圭市が主催するドリフト大会へ案内したら、さらに興奮度が上がり、ドリフトがどんどん繰り広げられるサーキットの横でイベントを紹介するクラークソンは、「トップギア」のカメラに向かって、ドリフトという言葉を初めてBBC放送局で使った。それまで海外では使われていなかった「ドリフト」という呼称を。

文=ピーター ライオン

この著者の記事一覧へ

PICK UP

あなたにおすすめ