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2020.11.29 12:00

これは徹底的に撮るぞ──。日本発祥「ドリフト」文化が、初めて世界に紹介された日


クラークソンは土屋さんにインタビューし、大会を見ながら、カメラに向かってこう言った。「大会の審査員の土屋さんたちは、まるでフィギュアスケート選手の演技を評価しているかのように、ドリフターたちの横滑りする角度、スピード、スモークの上げ方などを評価してる」と。

当時の土屋圭市
現在多様なメディアに登場される土屋さん

ちなみに、「トップギア」は世界で最も見られている自動車番組であり、最も視聴率が高く、160か国以上で放映されている。

よってドリフト現象はただちに世界に渡り、2001年から世界中で大ヒットした映画「ワイルド・スピード」シリーズには欠かせない運転スタイルになった。制作側がドリフトの生みの親である土屋さんに敬意を払って、3作目の「ワールドスピード 東京ドリフト」にちょこっと出演させているほどだ。同映画で主役が渋谷のスクランブル交差点を豪快なドリフトで爆走するシーンは、誰も忘れられないと思う。

ドリフトがどれだけ社会に浸透したかというと、2001年からは全日本プロドリフト選手権(通称 D1GP)が開催されているし、アメリカでは2004年からフォーミュラ・ドリフト選手権が始まった。それから徐々に、英国、ギリシャ、ドイツ、中近東、タイ、南アフリカ、オーストラリアなどにも広がっていっった。

おそらく、いま一番有名なドリフターというかドリフト選手は、アメリカ人でラリードライバーだったケン・ブロックだ。その彼があちこちで披露する1400馬力の専用マスタングでの豪快なドリフト映像は、YouTubeでも大人気だ。ロサンゼルスのダウンタウンで撮られたドリフト動画はなんと5000万回ほどの再生回数を記録している。

どうだろう。26年前に、クラークソンが日本特集で「ドリフト」を紹介していなかったら、ドリフト文化はこれだけ世界に浸透しなかったし、「ワイルド・スピード」のカーアクションのスタイルもきっと違っていたし、ケン・ブロック現象も生まれかったかもしれない。

英国BBC放送局の「トップギア」という番組とクラークソンのセリフを通して、僕が「ドリフト現象」を海外に紹介できたことは誇りに思う。ドリフトがさらに広がり、人気者になることを祈っている。

でも、決して公道で無茶はしないでね。


当時の番組はこちらで閲覧できます

文=ピーター ライオン

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