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ドクター本荘の「垣根を越える力」

Busakorn Pongparnit/Getty Images

「日本は、ブームに弱いとあらためて思います」(経営学者A氏)

「早くDXブームが去って、本当の意味でのデジタル化が推進できればいい」(大企業DXリーダーB氏)

A氏は、長らく日本企業の情報技術(IT)活用のオピニオンリーダー。B氏は、IT企業で活躍し続け、いまは日本を代表する企業でITによる革新のリーダーを務めています。

組織へのIT活用に取り組み続ける賢明なリーダーたちは、両氏と同じような見方をしている人が多いのではないでしょうか。

「本当の意味でのデジタル化」が進まず、「ブームに弱い」日本。なぜ、A氏もB氏もこのように言うのでしょうか?

1990年代の教訓


日本が一過性のブームに走る傾向があるのは、IT関係の仕事をする者の間ではよく知られています。

例えば、90年代後半に日本で一世を風靡したCALS(Commerce At Light Speed)という生産・調達・運用支援のための電子商取引のシステム。

これは米軍の効率化策を起源としたものですが、シリコンバレーでは「日本特有のIT革命のバズワード」と言われていました。

当時筆者のボスだったCSK/SEGAグループ大川功会長に、日本の大手金融機関のトップが「これからはCALSですよ」と語りかけた時には、卒倒しそうになったものです。

日本のIT業界のリーダーでありオラクル創業者ラリー・エリソン氏ら米国のITリーダーたちと親交の深い大川氏に、ITの素人が何を言ってるんだという驚きと、こうして日本の大企業経営者はバズワードに惑わされていくのか、という現実を見せられたからです。

ブームに踊り、本当の意味でのデジタル化ができなかったのは、日本だけではありません。少し前にはこんな出来事がありました。

1980年代の後半、CSC Indexが「テクノロジードリブン・ビジネスプラニング」なるコンサルティングを開発しました。後のリエンジニアリング(既存の業務プロセスや管理方法を見直し、再構築すること)です。

そして、1993年には、マイケル・ハマーとジェイムズ・チャンピーが著した「リエンジニアリング革命―企業を根本から変える業務革新」(Reengineering the Corporation)が世界を震撼させました。この書籍の出版を機に、ITを活用して事業を革新する機運が一気に高まったのです。

ちなみに、私は1993年に日本人コンサルタント第1号としてCSC Indexに入社しました。まさに、この機運を現地で体験したうちの1人です。

この本をきっかけに、リエンジニアリングは世界的なブームとなりました。しかし、バズワード化と都合のいい解釈によって、本来のリエンジニアリングのあり方とはかけ離れていきました。

文=本荘修二

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