ビジネス

2020.11.30

ブームに弱い日本。DXをバズワードで終わらせないための改革プロセス

Busakorn Pongparnit/Getty Images


かつて、情報システムは、組織を映す(システムを見れば組織がわかる)とも言われましたが、部門ごとに異なるシステムを採用しているのはよくあること。また、顧客のためではなく、社内や部門内の論理によってプロセスがつくられていることが多いのも実情です。

なので、顧客など外部からの視点(アウトサイド・イン)でプロセス全体を見直し、目の前の効率化やコストダウンだけでなく、価値追求の攻めの視点でもリデザインすることが大切なのです。

DXへの正しいアプローチとは?


こうした本来のリエンジニアリングの基礎は、この30年近く言われてきたことですが、残念ながら、きちんとできている例はごくわずかです。

したがって、DXもいまはハイプ(熱狂)になっていますが、このままでは空振り、あるいは死屍累々を招きかねません。世はDX流行りですが、ここは一歩引いて、冷静に取り組みたいものです。

経済産業省が2018年9月に公表した「DXレポート」で、DXを進めよと警鐘を鳴らしたのは、いいことだと思います。しかし、このレポートはDXの一面でしかない情報システムに偏っています。

いまやDXは、ただのIT活用を含め幅広い意味で使われていますが、本来はDX=デジタルトランスフォーメーションという言葉の意味どおり、組織や事業はじめ企業のあり方を「革新」することにあるはずです。

DXの第一人者であるマイケル・ウェイドIMD(国際経営開発研究所)教授は、DXを「デジタルビジネストランスフォーメーション」と呼ぶようになっています。

単なるIT化を超えて、リアル+デジタル、それもリアルを革新した新たなモデルができれば、強い競争力が得られるでしょう。DXの要諦である「つながり」をつくるための切り口や、相互作用を生むための顧客やユーザーとの新たな関係づくりが1つの鍵となります。

そのためには、そもそも会社や事業の目的は何か、どういう顧客価値を追求するのか、そして信条や行動規範やカルチャーはどうあるべきか──。そのような根本的な部分に立ち返って問い直すことが、回り道に見えて、実はブームではないDXを進めるための真のアプローチになるのではないでしょうか。

連載:ドクター本荘の「垣根を越える力」
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文=本荘修二

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