ビジネス

2020.11.30

ブームに弱い日本。DXをバズワードで終わらせないための改革プロセス

Busakorn Pongparnit/Getty Images


いくつものコンサルティング会社がこの本を大量発注し、即席でコンサルタントを教育してプロジェクトを売りまくり、コスト削減したい企業が人減らしやリストラの手段に使ったのです。

やがて本家本元のCSCも誤解を避けるため、リエンジニアリングという言葉を使うのをやめてしまいました。

一方、日本の状況はといえば、いわば虚(うつろ)なものでした。日本企業は業務改善ではダントツであるという過信や、ITへの理解不足もあって、リエンジニアリングは日本の真似だとか、プロセスの組み替えなんて意味があるのか、といった批判をする経営学者やメディアもあり、何も進まなかったのが実情です。

リエンジニアリングから学べること


そんなブームの一方で、一部の米国企業は、真摯にリエンジニアリングに取り組み続け、競争力を高めていきました。

本当の意味のリエンジニアリングを進めるためには、ビジネスプロセスを取り巻く、次の3つの改革が必須です。

・組織と人材(職務/スキル)
・マネジメントシステム(業績評価ほか)
・カルチャー/価値観

これらの改革なしに結果を得ることは困難でしょう。

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IT活用の基礎である「リエンジニアリング・ダイヤモンド」 出典:CSC Index

リエンジニアリングは、その実践において、人材の再教育を含むチェンジマネジメントが重視されます。また、リエンジニアリングを進めようとしたとき、停滞を招く要素にFUD(Fear=恐れ、Uncertainty=不確実さ、Doubt=疑い)があるため、チームメンバーの感情や心理を考えて、コミュニケーションの工夫を図ることも不可欠です。

そして、中心であるビジネスプロセスについても、断片化(fragmentation)してしまっていることが多いのも問題です。
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文=本荘修二

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