泥沼化する中国TikTokの売却交渉、バイデン新政権に引き継ぎか?

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米国のトランプ政権が安全保障上の懸念を理由に、中国の動画アプリTikTokの米国事業の売却を命じていた問題で米財務省は11月25日、これまで27日までとされていた売却期限を12月4日に再度延長したと発表した。

財務省の広報担当者がCNNに語ったところによると、対米外国投資委員会(CFIUS)はTikTokの親会社のバイトダンスに対し、1週間の猶予を与え、「同社がCFIUS に提出した書類を再検討することを許可する」という。

当初の期限の11月12日は27日に延期されていたため、今回は2回目の延期となる。

今月初め、バイトダンスは米連邦控訴裁判所に対し、トランプ政権によるTikTokの米国事業の売却命令の無効化を求めていた。同社はトランプの命令とTikTokが国家安全保障上の脅威であるという政府の主張は違法であり、米国憲法の下での同社の権利を侵害していると主張した。

控訴裁判所はバイトダンスに対し、米国政府に対する訴訟の一環として書類を提出するために12月14日までの猶予を与えた。これとは別に、同社は11月12日の提出期限を30日間延長するよう求めていたが、これは法的に認められていたもので、提出期限までの数週間の間にCFIUSと「有意義な対話」ができなかったと主張していた。

米商務省は10月にペンシルベニア州連邦地裁が出した処分の差止命令に従うことに同意したため、バイトダンスは米国内での事業のシャットダウンを回避できていた。

頓挫した「売却取引」


バイトダンスは9月に、TikTokを米国を拠点とする企業として再編成する計画を発表し、オラクルとウォルマートがIPO前の資金調達ラウンドの一環として株式の20%を購入することに同意した。この取引は当初、トランプの「祝福」を受けていたが、バイトダンスがTikTokの支配権を維持し続けることを示唆すると、即座に問題化した。

トランプは、バイトダンスがTikTokから完全に手を引き、オラクルに「完全な支配権」を渡さない限り、取引を停止し、TikTokを禁止すると脅していた。

CFIUSが現在、検討を進めている取引条件が、10月以降に変更を加えたものであるのかは不明だ。しかし、中国政府はその後、TikTokが使用しているような「パーソナライズされたレコメンドツール」を含むAI技術の輸出に制限をかけたため、今後のTikTokの処遇に関しては、中国側の同意を得ることが必須となる。

バイデン次期政権がTikTokに与える影響についてはまだ不明だ。今月初め、TikTokは、新政権にそれを強制されないとしても、オラクルとの契約に興味を持っているとCNBCの取材に述べていた。

その当時、バイデンにテクノロジー関連の助言を与える人物は、「新政権がTikTokに対するスタンスを決めるのはまだ先になる」と述べた。しかし、今年の初め、バイデンの選挙チームはセキュリティ上の懸念から、スタッフらにTikTokを使わないよう求めていた。

編集=上田裕資

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