REING代表の大谷明日香とプロデューサー兼エディターのユリ・アボに話を聞いた。
自分が「違和感」を感じた時、何に気づくか
創刊号の特集テーマは「女男」。男女二元論的な社会のあり方に対する違和感を丁寧に取り上げることで、新しい社会のあり方を読者とともに考えていく。
水曜日のカンパネラ・ボーカル、コムアイへのインタビューに始まり、日頃からジェンダーに関する発信をしているクリエイターなどによる文章や写真を中心に構成されている。
ページをめくるとまず目に飛び込んできたのは、「違和感瞬間」と題されたアートワーク。電車の中で足を広げて座る女子高生や、鏡を覗き込んで化粧をする男子高校生の姿を映し出した写真は、自分の中にあるジェンダーバイアスの存在を認識させる。
雑誌『IWAKAN』内の「違和感瞬間」のアートワーク(REING提供)
インタビューや寄稿の文章には、紋切り型の言葉がみられないことに新鮮さを感じる。クリエイターそれぞれが抱えている「違和感」を正確に描写するために、自分の肌に合った言葉を選んでいる印象を受ける。読み進めていくうちに、自分自身も抱えてきた「違和感」を言葉にしたくなる衝動に駆られた。
本誌の想定読者は、セクシュアルマイノリティに限定されていない。ジェンダー・セクシュアリティのみならず、世の中の「当たり前」に違和感を持つ全ての人を対象にしており、そこにはシスジェンダー(性自認と性別が一致している人)も含まれる。
どのようなきっかけで『IWAKAN』の制作を始めたのだろうか。REINGプロデューサー兼エディターのアボは、次のように語る。
「もともとは、REINGが運営しているコミュニティのメンバーから、国内唯一の商業ゲイ雑誌『SAMSON』がこの4月に廃刊になったと聞いたことがきっかけで、『クィアの人たちのための雑誌を作ろう』と思ってスタートしました。でも企画を考える過程で、『読者からシスジェンダーの人たちを排除してしまって本当に良いのだろうか?』と思ったんです。私はシスジェンダーですが、世の中のジェンダー観にモヤモヤしながら生きてきたひとりなので」
REINGプロデューサー兼エディターのユリ・アボ