普通って何? 固定観念からの解放、REINGのクリエイティブな挑戦

REING代表の大谷明日香(左)とプロデューサー兼エディターのユリ・アボ


人をジェンダーロールから解放するアンダーウェア


REINGはこれまで、2つの自社プロジェクトを立ち上げている。1つは、ジェンダーニュートラルなアンダーウェア「REING Underwear」。もう1つは、雑誌『IWAKAN』の創刊だ。

「REING Underwear」は、型・カラー・サイズにおいて性別の区別がなく、着る人の性別を規定しないのが特徴。自社プロジェクトの第1弾に、アンダーウェアを選んだ理由を大谷に聞いた。


ジェンダーニュートラルなアンダーウェア「REING Underwear」

「自分らしさとは、自分がどんな人やモノとの関係性を築くかによってつくられるものです。ところがアンダーウェアは、自分が身につけるモノの中で最も身体に近いにもかかわらず、既存のジェンダー観が強烈に反映されている。これを身につけることによって、自分らしくいられるとは言えない人もいるのではないか。だからこそ、REINGの考えを表現するのには最適な領域だと考えました」

開発時にこだわったのは、全ての人が心地よく身につけられること。あらゆる人に試着してもらい、性別や体型を問わず着用できるデザインを開発。素材は、肌触り良く伸縮性のある「ベア天竺」を使用した。

完成した商品を発売すると、たくさんのユーザーが購入と同時に喜びのコメントを寄せてくれた。大谷はその中でも、あるユーザーのブログに書かれていた言葉が忘れられないという。そこにはこう綴られていた。

「今まではアンダーウェアを身につける瞬間、自分が女性であることを強く意識させられていました。しかし『REING Underwear』を身につけるときには、女らしさを意識する必要がなく、ただ心地いいという理由だけで着ることができる。このアンダーウェアは、自分をジェンダーロールから解放してくれた」

大谷は「自分たちの想いが伝わったんだと思い、このプロダクトの意義を感じることができました」と振り返る。

REING Limitless Pink
11月に発売された新色「Limitless Pink」。温かみのあるピンク色だ

そして11月、「REING Underwear」に新色「Limitless Pink(リミットレス・ピンク)」が追加された。当初のラインナップはベージューやグリーンなどのジェンダーニュートラルな色だったが、REINGのコミュニティメンバーに「ジェンダーバイアスを感じる色」についてアンケートを取ると、回答がピンクに集中したことから、今回あえてピンクを追加することになった。
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文=一本麻衣 写真=平山尚人 編集=督あかり

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