ボビー・バレンタインの弟子が挑む、日本野球「世界一」への道

.ソフトバンクGM補佐 兼 スカウト・育成部ディレクター 嘉数駿


1つ目はもっともシンプルだが、ワールドシリーズをベストコンテンツと考えるMLBがそれを損ねるプランを簡単に承諾するはずがない。2つ目の世界一のタレント集団にする案は、現状では、NPB外国人枠(一軍登録は4人まで)が立ちはだかる。したがって3つ目のNPBを世界一のリーグにするという計画が、もっとも時間がかかるが、もっとも実現性が高いという結論に至った。
advertisement

「世界一というと途方もないことのように思えますが、NPBが世界で2番目のリーグであることは間違いない。そのリーグが1位を目指すのは当然のことだと思うんですよ」

スポーツエンターテインメントの世界も今や市場は世界中に開けている。そのなかで、世界を見ないということは衰退の道を選んだことと同義だ。「みんなによく言うのですが、世界一戦略ということは、ほぼ世界戦略という意味と同じです。日本の球団も世界に打って出ないといけない」

NBAが中国にまいた種


世界戦略を考えるうえで、嘉数が手本としたのはNBA(ナショナル・バスケットボール・アソシエーション)だった。NBAは1970年代からすでに世界進出に着手していて、その努力が実ったのは2002年だった。中国初のNBAプレイヤー、ヤオ・ミンが現れ、所属するヒューストン・ロケッツの開幕戦は約2億人の中国人がテレビで視聴したともいわれている。
advertisement

「NBAは少しずつ中国に種をまいていた。1979年に中国でNBAの試合を開催しているし、その後もアカデミーを設立し、NBA中継もしていた。だから、ヤオ・ミンのデビューで、あれだけ跳ねた。決してラッキーではない。ヤオ・ミンは2011年に引退していますが、今もNBAは中国で大人気です。NBAにおける国際事業の収益は、全収益80億ドルの1割から2割を占めるといわれていて、そのほとんどが中国です。その額は、NPBの収益といい勝負。NPBの規模はNBAと比べたら、そんなものなんです」


ボビー・バレンタイン氏とのツーショット
次ページ > 巨大市場、インド

文=中村 計

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事