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2020.11.27

ユニークな企業が集い始めた広島。進出を決めた二社が経験した2つのドラマ

企業の地方進出や、地方拠点の開設が盛んになっている。

コスト削減や人材採用など目的はさまざま。地方に拠点を持つことがブランディングに繋がるケースもある。一方、自治体側も雇用創出や移住者増加が期待できるため企業誘致に力を入れている。

例に漏れず企業誘致に積極的な広島県にも、年々ユニークな企業が進出している。助成金などのサポート制度はWebサイトで参照できるが、気になるのはリアルな実感。広島県に進出を決めた二つの企業、彼らの拠点開発のストーリーを探っていこう。

まずは、東京に本社を置き、Web制作やシステム開発を手掛ける株式会社LIG。2017年5月にコワーキングスペース「いいオフィス広島」を広島市に開設。現在は50人以上の会員が常時利用をしており、広島移住を検討する人の多くが立ち寄るスポットにもなっている。

そして、バレットグループ株式会社。こちらも本社は東京で、アドソリューション事業やICTソリューション事業を手掛けている。地方拠点「開発ラボ」の設立地を探す中で広島県を選び、2021年初旬にオープンする。

企業の地方進出・広島進出のリアルを知るべく、進出前後でステージの異なる二社の話を聞いていこう。

社員が地元で仕事を続けられる仕組みをつくるために


全国に約170拠点を構え、コワーキングスペースの代表的存在といえる「いいオフィス」。始めたきっかけは、個人的な思いからだとLIG代表取締役の吉原ゴウさんは振り返る。

「もともと僕が旅好きで、全国各地でノマドワーキングをしたいと思っていました。加えてLIGのメンバーには地方出身者が多く、みんな『いつか地元に帰りたい』と言っていた。彼らが地方へ帰ってもLIGで仕事を続けられる体制をつくりたいと思ったんです」(ゴウさん)

いいオフィス広島の開設は偶然だった。ゴウさんが広島で講演を行なった帰り、再開発地域の一区画にコワーキングスペースを開いてほしいと行政から依頼を受けたのだ。脳裏には、LIGのメンバーであり広島県出身の内藤昌史さんの顔が浮かんだという。

「空間ビジネスを行う上で大切なのは、場を盛り上げられる中心人物。そういった意味では、地元出身者が一番受け入れられやすいんです」(ゴウさん)

その頃、長野県信濃町でサテライトオフィスの運営をしていた昌史さん。ちょうど地元で暮らすことを意識し始めていた。

一時期は「LIGを辞めて広島に帰り、農業に従事しよう」との思いを固めていたという。しかし、ゴウさんからいいオフィス広島の支配人の打診を受けたことで、仕事を続けたまま広島へUターンする道を選ぶことにした。

広島は人同士が繋がりやすい。大切なのは、人脈作りではなく友達づくり


いいオフィス広島の支配人の打診を受けた昌史さん。長野での仕事の引き継ぎを終えて、広島に戻ったのは2018年4月。先駆けて開設したいいオフィス広島は開設1年を迎えていたが、知名度はまだまだだった。

広島県 チャレンジ里山ワーク LIG
LIG代表取締役 吉原ゴウさん

そこで、昌史さんが意識したことは二つ。

ひとつは、いいオフィス広島の顔になること。それまではLIGのメンバーが一ヶ月ごとに入れ替わりで常駐していたが、「自分が支配人である」ことを明確にして、永続的な関係性を築くつもりで訪れる人と接した。

もうひとつは、広島で友達を作ること。昌史さんは広島出身だが、小学生のときに引っ越したため地元にいる知り合いは限られていた。

「広島県のU・Iターン促進サイトで紹介されている方に会いに行ったんです。その方が移住者交流会の幹事を務めていて、僕も参加させてもらうことにしました。そして、いいオフィスを懇親会の会場として貸し出すようにしたんです。すると知り合いが増えて、移住相談に乗らせていただいた方が移住後にいいオフィスの会員になってくれることもありました」(昌史さん)

気付けばいいオフィス広島の会員数は右肩上がりに増え、移住を考える人と移住した人が訪れ、交わる場所になってきた。そんな中で気付いたことがあったという。

「広島は東京と比べてあらゆる人と繋がりやすく、『知り合いの知り合いがあの企業の社長さん』といったこともよく起こります。ただ、ビジネスや営業トークで距離は縮まりません。まずは一人の人間同士、友達として仲良くなる。その延長線上で仕事につながるかもしれない。そういった意識の持ち方が、地方で働く上では大切な気がしています」(昌史さん)

2つ目の拠点も開設。地方都市から郊外へ、段階的な移住を支援


広島に移り住み、昌史さんの暮らしも変わった。普段は東広島市からいいオフィス広島まで、40分ほどかけて車通勤。休日は呉市と江田島市で栽培しているレモンの世話でに汗を流す。心地良い生活スタイルを見つけた昌史さんに、あらためて広島の魅力を聞いてみた。

広島県 チャレンジ里山ワーク LIG

「災害が少なく晴れの日が多いです。山陰・四国・近畿・九州にアクセスがいいので、日帰りで遊びに行ける場所の選択肢が広いですよ」(昌史さん)

2020年10月には、「いいオフィス安芸高田」もオープンした。安芸高田市は広島市に隣接しており、山に囲まれた穏やかな風景が魅力的な場所だ。

「広島へU・Iターンをする人に、まず広島市で地方都市の住みやすさを実感してもらい、その後より自然が多くて土地も安い郊外に移り住む選択肢を提案したいと思ったんです。安芸高田市は広島市へのアクセスも良く、自然豊かだけど日々の生活に不便を感じない。U・Iターンの人も馴染みやすいと思い、ここに決めました」(昌史さん)

関連会社である株式会社いいオフィスは今後、全国で300以上の拠点整備を目指す。会員は全拠点利用可能。働く場所への流動性を高めることが狙いだ。

「今まで以上に地方移住が活発になる今、各社が社員に合わせて拠点を用意していたのでは間に合わない。そんなときに、いいオフィスを活用してもらいたいです」(ゴウさん)

今の仕事を続けながら、地元や自分にとって心地良い場所で働くという選択肢をより多くの人が持てるように。そんな願いから、いいオフィスは広島を含めた全国で空間づくりを続けている。

広島県との出会いは、候補地を探す中で届いた一通のメール


一方のバレットグループは、昨年から開発ラボの設立を目指していた。開発ラボとは、クリエイターやエンジニアの地方拠点、かつ都心で働くメンバーが立ち寄れるワーケーションスペースだ。

広島県 チャレンジ里山ワーク バレットグループ
バレットグループ株式会社 山本泰大さん

開発ラボ設立の背景を、経営企画室の山本泰大さんはこのように教えてくれた。

「一番の理由はエンジニアの採用難です。東京での採用はスキルと賃金が見合わないケースも多くあったため、地方にいる優秀なエンジニアを採用するため、東京と同レベルの賃金で、かつ遠隔で快適に働ける環境を整備したいと思いました。そしてCSRの観点もありました。2013年の会社設立以来、自分たちの能力を磨くことに集中してきましたが、今後は企業として地方の雇用創出や地方創生に貢献したいと思ったのです」(山本さん)

こうして、開発ラボの候補地探しが始まった。大自然の中で非日常感を味わいながら働ける北海道や沖縄県、ワーケーション施設や観光資源に恵まれた県など複数の候補地が挙がった。

山本さんは東京・永田町にある都道府県会館に向かい、順番にアポを取って企業誘致の担当者から話を聞いて回ったという。

同じころ、バレットグループの代表の元に1通のメールが届く。差出人は広島県の中山間地域振興課の担当課長だった。

「内容は、『広島県に拠点を出しませんか?』といったものでした。面識は無かったのですが、このメールをきっかけに、広島県も候補地に加わったんです」(山本さん)

立ちはだかった壁。奔走してくれた担当者の熱意に心動いた


しかし、候補地探しの過程で壁が立ちはだかる。それは、立地確定と採用を同時並行で進める難しさ。開発ラボ設立地で責任者を採用したいが、地方は求人媒体や人材紹介会社への登録者が少ない。

「拠点を設立後、採用が進まずオフィスがもぬけの殻で、固定費だけが掛かるのでは厳しい。それに、企業にとっても行政にとってもwin-winではないですよね。だから行政の持つU・Iターン者のデータベースを頼りに採用協力を求めました。しかしどこも共通して『まずは、うちの都道府県への進出を宣言してもらわないと、そうした協力は難しい』とのお返事でした」(山本さん)

ただ、広島県が他と違った点。それは規制のルールにとらわれない支援ができないかと腐心してくれる人がいたことだ。

「手紙の送り主である担当課長が『何とかしたい』という思いで関係者の元を奔走してくれて。それに何度も『バレットさんに来てほしい』と伝えてくれて。その姿勢と熱意に心動かされました」(山本さん)

広島県に惹かれていく中で、山本さん自ら広島県内のコワーキングスペースに連絡を取り、「求人票を登録会員に案内してもらえないか」と依頼。広島市在住で開発ラボの責任者にふさわしい人と出会えたため、進出を決定した。

進出がゴールではない。地域の人と共に描く未来


次に決めるべきは、広島県内のどこに開設するかということ。

視察を進める中で魅力的に映ったのが、江田島市。広島湾に浮かぶ複数の島から成る市で、広島市からはフェリーでアクセスできる。ここでも山本さんは人に惹かれた。

「市役所の方が、『行政の仕事はここまで』と線引きせずに協力してくださる、本当に熱い方たちばかりだったんです。『バレットが来ることで江田島の空気が変わるかもしれない』という大きな期待を寄せて、物件探しやさまざまな調整に協力してくれました」(山本さん)

江田島市民にとって、海が見えるのは当たり前。だからこそ、紹介してくれるのは“立派だけど海が見えない建物”ばかりといったギャップもあった。

広島県 チャレンジ里山ワーク バレットグループ

「『こんなに穏やかで煌めいた海が近くにあるんだから、絶対に海が見える場所がいい』と要望を伝え続けていたところ、案内されたのが旧庁舎でした。フェリー乗り場から徒歩5分、ビーチへ10分の立地。海が見渡せるのに、資料室にされてしまって窓には遮光フィルムが貼られてあった。もったいないと思いましたね」(山本さん)

都会から来た自分たちには、唯一無二のロケーションに思えた。こうして開発ラボの拠点は旧庁舎に決まり、現在は開設に向けて改装準備中だ。

バレットグループには、江田島市とともに描く夢がある。

「島は、都会に比べて情報格差や技術格差があるイメージを持たれがちかもしれませんが、島にいることでアドバンテージを得られる状態に変えたいと思っているんです。たとえば島の高校でプログラミング授業を実施するなど、地域に恩返しができればなと」(山本さん)

企業にとって地方進出がゴールではない。新たに拠点を設ける以上、地域に相乗効果を生み出したいと考えるものだ。その目的に向けて同じ絵を描き、同じ熱量で取り組んでくれるパートナーのような行政に出会えることは、企業にとってなんと心強いことだろうと思った。


安芸高田市と江田島市は、最長1ヶ月お試し勤務や生活周辺環境の視察ができる、法人向けのプロジェクト「チャレンジ里山ワーク」にも参画している。

サテライトオフィスの開設にあたってのオフィス改装費や備品購入費に加え、開設後の賃借料や通信回線使用料にも補助があり、支援に力を入れている。拠点の地方移転やサテライトオフィス開設を検討している企業も、ぜひ選択肢に含めてみてほしい。

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