ビジネス

2020.11.29

スタートアップの「あるある」に陥らない、組織とミッションの作り方|ナイル 高橋飛翔

ナイル代表取締役社長 高橋飛翔(提供:DIMENSION NOTE)


──採用プロセスではどのようなことに気をつけていらっしゃいますか?

弊社は採用プロセスが非常に長いです。面接が3回、性格診断テスト、入社した場合にやるであろう仕事を筆記テスト化したワークテストを60分。この全ての結果を採用担当者が全役員が参加する採用委員会で議題にかけ、合否を判断しています。

採用委員会では、応募者の6カ月後、12カ月後、24カ月後の期待値に対し、正当な報酬を支払う価値があるということを役員全員に説明しなければいけません。その上で役員が「その評価は甘い」「もっと目標をあげられる」といった議論をするのです。

このプロセスを経ているので、もし採用ミスがあった場合でも全員が納得できます。逆にうまくいった時には、「こういう理由で給与を上げるべき」という議論もスムーズにできます。

求職者にとっても、人生に数回しかない大切な意思決定局面において、これだけしっかり自分のことを見てくれる会社のほうが納得感があるでしょう。

おかげさまで、2020年に入ってから当社の採用プロセスでオファーを出した方の80%が入社を決めてくれています。組織づくりと採用プロセスが、しっかりワークしている証左だと感じています。

──高橋さん自身もブログなどでビジョンや組織について発信されています。これも組織づくりを目的とされているのでしょうか?

節目節目のタイミングでは必ず発信していくように心がけていて、その最大の目的は採用です。

スタートアップにジョインするような人材が、会社の選定軸として必ず挙げるのが社長という軸です。発信してない社長と発信している社長とでは、会社への共感度合いに大きく差が開いてくるのです。

なので、ブログなどを書くときには将来ナイルに入ってくれる人のことを考えて発信しています。

採用面接に来る方は「ナイル 社長」などと検索してくれるわけなので、ブログの更新性が高い必要性はありません。少なくてもいいから、1本1本魂の入った記事を書くように意識しています。

──非常に組織・採用ともにうまくいっているようにお見受けしますが、これまでに失敗談などがあればお聞かせください。

これはスタートアップあるあるですが、組織を急拡大しようとしたときに採用プロセスを妥協してしまったことがあります。

ビジネス目標をこのタイミングまでに達成しなきゃいけないという想いが先行しすぎて、採用基準が緩くなり、本来採用すべきでない人を採用してしまいました。これが1年から2年かけてナイルの組織を蝕んだことがあります。

それ以降は事業目標の達成がどんなに苦しくても、採用プロセスだけは絶対妥協をしないと決めました。組織づくりという「総合格闘技」に、これからも妥協なく戦い続けたいと思っています。
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文=伊藤紀行 提供元=DIMENSION NOTE by DIMENSION, Inc.

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