──顧客理解するための仕組みを作り、組織に浸透されているのが印象的です。
経営者がやるべきは、「顧客理解」をなによりも大切にする文化を醸成することです。
先ほどデジタルマーケティングは汎用化されうるものだと申しましたが、差がつくと点があるとすると経営者がどれだけマーケティングにコミットしているか否か。CMOなどに完全に任せてしまっている会社は、マーケティングが弱くなります。
私の場合、全てのインタビュー書き起こしを読み、率先してお客様のことを知ろうとする姿勢を見せるよう意識しています。
経営者自身が誰よりも消費者・顧客を知ろうとすること。そして顧客理解のプロセスそのものを仕組み化し、文化を醸成すること。これが最終的には、デジタルマーケティングにおける成否をも分けることになるのだと思います。
──近年のデジタルマーケティング業界ではオンラインとオフラインの融合などもキーワードとして取り上げられています。
「O2O」「OMO」といった流行り言葉が増えていますが、これはバズワード、手段でしかありません。
お客様が何に困っていて、どんなシーンで自社のサービスを使おうと思って、なぜ契約してくれたのか。この顧客理解にしかマーケティングの本質はありません。
顧客理解があるからこそ、「適切なコミュニケーション手段が実はリアルにあったのではないか」、「リアルとオンラインをこう結合させた方がいいんじゃないか」、という解決手段が生まれます。
繰り返しになりますが、「顧客理解」にすべての秘密が詰まっています。流行りの手段に振り回されるのではなく、顧客理解を徹底できるかどうかが、マーケティングをするうえでは大切だと思います。
高橋飛翔◎1985年生まれ 東京大学法学部在学中にナイルを創業し、代表取締役社長に就任。「デジタルマーケティングで社会を良くする事業家集団」ナイルを牽引し、法人顧客向けデジタルマーケティング支援事業や自社メディア事業を立ち上げ。2018年より新規事業として、モビリティ領域における新たな事業モデルの構築に取り組む。