企業も個人も。自ら客観視すると「ビジョン」のカケラが見えてくる

原田 朋(左)と尾林誉史(右)


原田:尾林さんの仕事は、この社会で困惑している人に、「必ずしもついていかなくてもいい」ということもあれば、それでも走り続けなければいけない人へのサポートもあるんだと思います。企業の経営者や政治家など、やめたくてもやめられず、めちゃくちゃしんどい仕事をしている人もいますよね。

尾林
:一国の首相の治療法と一ビジネスパーソンの治療法はなかなか同列にはできないですね。走らせるための治療法も当然あるし、そのままでいいんだよって背中をポンポンって叩いてあげるだけの治療もあります。

──いろんなパターンを見てこられて、お二人がこの仕事をしていてよかったと思うのはどんなときですか?

尾林:クライアントさん本人が、飾ることなく「生きるってこういうことなのかな」ってご自身の言葉でたどり着いたときですね。そこで「そう思いますよ、いいんじゃないですか」と伝えると、みなさんとてもスッキリした顔をされます。

僕に否定をする権利がないとか、褒めてあげた方が喜ぶとか、そういう浅はかな話ではなくて、一緒に伴走してきた感覚からすると、ほんとにご自身で考えてこられたことも、背伸びしてないなっていうこともわかるんです。だから、「いいんじゃないですか」って。無責任に聞こえるかもしれないですが、すごく喜ばれるというか、ほっとした顔をされますね。



原田:僕も近いのかもしれない。例えばビジョンを作ったとしても、「これが御社のビジョンです」と、ルールのような言葉にするのは違うのかなと思っています。〇〇であるべき、みたいなのは、「あれをしなきゃ、これができない」という閉塞感にもなってしまう。

それよりも、そのビジョンがあることで、「あんなビジネスもこんなビジネスもいいね! こういう喜ばせ方もあるかも」ってみんなが想像力を広げられるような言葉。そういうイマジネーションの“余地”を作れたときによかったなと思います。

編集=鈴木奈央 写真=山田大輔

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