経済・社会

2020.12.06 07:30

世界で加速する「種の絶滅」 9つの衝撃的な事実


6. 農業のために失われた広大な熱帯林

IPBESによると、1980年から2000年にかけ、約1億ヘクタールの熱帯林が失われました。これは、主にラテンアメリカでの牛の放牧と、東南アジアにおけるプランテーションによるものだと研究者は述べています。


7. 絶滅の危機に瀕している植物は全体の約40%

英国キュー王立植物園の「世界の植物および菌類の状態」に関する報告書によると、植物の10分の4(39.4%)は絶滅の危機に瀕しています。そして、さらなる課題は、昨年だけでも1942の新種の植物が発見されており、絶滅前の植物の特定する必要があるということです。

8. 昆虫の減少を加速させる工業型農業

サイエンスダイレクトに発表された研究によると、劇的な減少により世界の昆虫種の40%以上が、数十年以内に消滅する可能性があります。 この主な要因は、工業型農業による生息地の喪失です。

9. 個体数が脅威にさらされている鳥類

IPBESの報告によると、2016年以降、家畜化された鳥類の約3.5%が絶滅しています。さらに、「生物多様性及び生態系サービスに関する地球規模評価報告書」は、絶滅危惧種の鳥の約4分の1(23%)が既に気候変動の影響を受けている警告しています。

なぜ、生物多様性は重要なのか?


2019年のIPBESの報告書、そして2020年のWWFの報告書は共に、生息地と種の喪失が気候変動と同様に地球上の生命に脅威をもたらすことを強調しています。

生物多様性は、豊かな自然界にとって欠かせないだけではありません。その悪化はまた、世界に暮らす80億人の生活、経済、食料安全保障、健康をも脅かしています。そして、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は、図らずもこの事実を浮き彫りにしました。

しかし、すべてが失われたわけではありません。アッテンボロー氏は、この損害を人類の「最大の過ち」としていながらも、「人類が今行動を起こせば、正常な状態を取り戻せるはず」と、前向きなメッセージも残しています。

地球を守るため、人類には何ができるか?


専門家たちは、世界の生物多様性の喪失の60%、そして二酸化炭素排出量の約4分の1は農業によるものであることから、地球を守る最良の方法のひとつは、世界的な食料システムの変革だと考えています。

畜産動物は多くの土地と水を必要とするため、消費者は肉の摂取量を減らし、より持続可能な食品を選ぶことで変化を起こすことができます。

一方、農家に対しては、環境への影響を軽減するため、化学肥料や農薬の使用の削減、作物の多様化、耕作の段階的な廃止に対する支援を行うことができます。


生物多様性の損失を逆転していくには、保全も不可欠です。IPBESは自然と人のどちらにも利益がもたらされるよう、地域社会を巻き込んでいくことの重要性を強調しています。

生物多様性の破壊と気候変動は、表裏一体の関係にあるため、移動量の削減、より環境にやさしいエネルギーの使用、消費者へのより環境にやさしい選択肢の提供など、二酸化炭素の排出と汚染を削減する対策も鍵となります。

アッテンボロー氏が述べているように、「私たちが自然を大切にすれば、自然も私たちを大切にしてくれる」のです。世界が新型コロナウイルス感染拡大の予期せぬ影響に苦しみ続ける中、このような思考の重要性は、かつてなく高まっています。


(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)

連載:世界が直面する課題の解決方法
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文=Natalie Marchant, Writer, Formative Content

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