通常、ある企業の一株当たり利益が1年前より50セント近く減少し、ウォール街の予想を31セント下回ったというニュースが流れれば、株価は下落する。しかし、ネットフリックスの場合はそうならなかった。予想を上回る会員数の伸びにより、4月15日の時間外取引で株価は急騰。同社は2004年以来初となる株式分割の計画も発表した。
映像ストリーミング企業、ネットフリックスは今年の第1四半期に会員数を490万人増やし、3月末の会員数は6,230万人となった。1月には同社は第1四半期中に会員は400万人増えて5,740万人に達すると予想していた。オリジナル作品が批評家に絶賛され、ゴールデングローブ賞を獲得したことも注目されたが、同社にとって大事なのはそれで会員数が増えるかどうかだけだ。
ネットフリックスはドラマ『ハウス・オブ・カード野望の階段』や『オレンジ・イズ・ザ・ニュー・ブラック』をヒットさせ、俳優や作家、監督さえ揃えればネットワーク局でなくても優れた番組を作れることを示した。昨年第3四半期の利益報告書から、同社IRチームも同じような離れ業をやってのけたことが伺える。すべての投資家の目を契約数の増加にだけ向けさせたのだ。
今期の決算発表後、ネットフリックスの株価は初めて500ドルの大台を突破し530ドル台に達した。前日比12%近い上昇である。(同日発表された株式分割案を株主たちが承認すれば、このような高い株価は長くは続かないだろう。)
リード・ヘイスティングスCEOとデービッド・ウェルズCFOは投資家への手紙で「四半期ごとにお送りしている経営社利益予想は、現時点で内々のものです」と念を押している。しかし、同社が案内では控えめな数値を出して投資家の期待を下げておきながら、期待以上の成果を挙げたのは驚くほどのことではない。契約数が予想を下回るのを投資家は嫌うと同社は数四半期前に学んだ。2014年第3四半期利益報告の後に株価は25%も下落し、輝かしい第4四半期の会員数増加実績が発表される1月まで回復しなかったのだ。
ネットフリックスは今年の第2四半期も昨年同期と同様に60万人の会員増を予想している。
株価が急上昇しているため、投資家は同社の一株当たりの利益減をあまり心配していないようだ。会社予想の一株当たり利益45セントに対し、ウォール街のアナリストたちの予想は69セントだった—しかし、実績は38セントに終わった。14億ドルの収益もまた、予想を下回っていた。
収益も利益も思わしくなかったのを、同社はドル高のせいだとしている。新規の海外会員が260万人にとどまり、短期的に打つ手がない状態だったというのだ。しかし、長期の成長性には自信を持っている。「為替レートによる逆風で、会員数の予想以上の伸びが帳消しにされてしまった」と同社は述べている。
15日の同社株価は始値でこの日最高値の480.93ドルを付けた。年初からは40%近く上昇している。