その「ながら食べ」危険かも 米国発「マインドフルイーティング」でストレス軽減?

目の前の食事に意識を向けるマインドフルイーティング(Photo by Unsplash)


無意識のストレスに気がつく体験


大坪自身、かつては大手旅行代理店に務める会社員として多忙な生活を送っていた。ランチはデスクでパソコンを眺めながら摂る毎日。無意識のうちにストレス過多状態に陥り、体調を崩したという。そんななかで出合ったのがマインドフルネスだった。

マインドフルネスについての学びを深めるうちに、健康的な食事法にも意識を向けるようになり、米国で開発された摂食啓発トレーニング「MB-EAT(mindfulness baseda eating awareness training)」のコースを、第一人者であるインディアナ大学名誉教授で心理学者のジーン・クリステラー博士のもとで学んだ。

実際に参加した10週間のMB-EATプログラムでの体験は、いかに自らの食生活が乱暴なものであったかを認識する機会になったという。大坪は語る。

「体が研ぎ澄まされた感覚でしたね。それまで毎日何個も食べていたチョコレートを全く食べたいと思わなくなったんです。味などわからぬままにチョコレートに依存していたんですね。どうしてこんなに甘いものを大量に食べることができていたのだろうと思いました」

実際、マインドフルネスを取り入れた摂食啓発プログラムの修了者のなかには、食べ物のチョイスが変化する人も多いという。

従来のダイエットでは「我慢」が基本になるため、かえって「食べてはいけない物」に意識が向いてしまう。しかしこのプログラムへの参加者は、食への意識そのものが変化しているため、その心配がない。

それまで好んで大量に摂取していた食品を「見たらまた食べたくなってしまうのではないか」と考えていた参加者でも、自然とその欲求がなくなるため、リバウンドする者は少ない。

「過食の原因はストレス、寂しさ、暇です。自分の感覚に意識を向け、『空腹だから食べる』ようにすることが大切です。一度立ち止まって自分の感覚とつながることで、『治療』するより『ならない』健康づくりを目指しましょう」

「ながら食べをやめられない」「今日も食べ過ぎてしまった」何気ないその後悔は、自分自身と向き合うことをおろそかにしている証拠かもしれない。いま一度、目の前の食事をじっくりと見直すことから始めてみてはいかがだろうか。

文=河村優

ForbesBrandVoice

人気記事