アマゾン傘下のZoox、「ロボットタクシー」の準備完了を宣言

(C)Zoox

シリコンバレー本拠の自動運転スタートアップ「Zoox」は、この2年間で経営者の交代やアマゾンによる買収など、大きな変化を経験した。同社は、これまで秘密主義を通してきたが、開発中の電動ロボットタクシーや今後の戦略を公表する準備が整ったことを明らかにした。

「当社は、将来的には宅配サービスも検討するが、アマゾンはそれよりもロボットタクシーによる配車ビジネスに大きな成長性を見出している。来月には実物の車両による自律走行を公開し、我々の戦略やその実現方法を発表する予定だ」とZooxのCEOであるアイシャ・エヴァンス(Aicha Evans)は述べた。彼女は、具体的な日程については明らかにしなかった。

Zooxの自動運転車は双方向運転が可能で、4WS(四輪操舵)システムを搭載している。アクセルとブレーキのペダルやハンドルはなく、乗客を輸送することに特化した設計となっている。同社は、まずサンフランシスコとロサンゼルスで配車サービスを開始する予定だという。

これまで同社が公開した画像には、コンパクトなワゴン車のような骨組みとタイヤ、座席しか映っておらず、デザインや機能は明らかになっていない。Zooxのコンセプトは、ゼネラルモーターズ傘下のクルーズ(Cruise)が1月に公開した電動自動運転車「Origin」に似ているが、車両サイズはより小型で最大4人が搭乗可能だが、1〜2名の乗客を輸送することを目的としている。

Zooxは、オーストラリア人のデザイナー兼起業家であるTim Kentley Klayと、スタンフォード大学出身のコンピュータ・サイエンティスト、Jesse Levinsonによって2014年に設立された。Kentley Klayは、ユニークな機能を自社開発したり、乗客向けアメニティを提供することで、アルファベット傘下のウェイモやクルーズなどの大手と差別化を図ろうと考えた。

同社は、設立から数年で10億ドルを調達したが、Kentley Klayは2018年に突如CEOの座を追われ、後任に元インテル幹部のエヴァンスが就任した。セネガル出身の彼女は自動運転車業界で唯一の女性CEOだ。

今年8月にアマゾンが1300億円で買収


新型コロナウイルスのパンデミックが発生した直後、Zooxが身売りを検討していることが報じられ、アマゾンが推定13億ドル(約1360億円)で同社を買収した。

買収は8月に完了し、共同創業者のLevinsonはチーフ・テクノロジー・オフィサーとして残ったが、Kentley Klayをはじめ、他の取締役は全員退任した。幅広い事業を展開するアマゾンの傘下となったことで、Zooxはロボットタクシー業界でウェイモに対抗することが可能になった。

「アマゾンは、新しい市場に参入できたことにとても興奮している。だからこそ、彼らはZooxを買収したのだ。様々な可能性を議論した結果、我々の技術をアマゾンの取組みに応用することが可能であることがわかり、いつか実現させたいと考えている。アマゾンは、買収プロセスを通じて、配車サービスは全世界で数兆ドル規模に成長する可能性があると明言していた」とLevinsonは話す。
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編集=上田裕資

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