テクノロジー

2020.12.06 11:00

「空のF1」2021年開催。時速200キロの空中カーレースが安全な理由

仮想力場プロテクションを搭載した「エアスピーダー」の空飛ぶ電動レーシングカー(A3 Communications)


イノベーション駆動型の空中モータースポーツ


アラウダの創業者でエアスピーダーの創立者でもあるマット・ピアソンは、「エアスピーダーが目指すのは、イノベーション駆動型の空中モータースポーツ」であり、アクロニスは「F1と(電動車両のF1と呼ばれる)フォーミュラEで技術的成功を収めた素晴らしい企業文化」を持っていると指摘する。アクロニスと聞くと事務データのバックアップを連想するかもしれないが、このプロジェクトにおける役割はもっとずっと大きい。アクロニスの上席副社長であるヤン・ヤープ・ヤーガーは、「エアスピーダーの空中トラックでも事務処理部門でも、パフォーマンス向上に貢献するつもりだ。技術、スポーツの両面で、真に次世代的な提案を実現する機会が来るのが待ち遠しい」と話す。
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マシンと観客を守るテラバイト級のデータ


テクノロジーの供給には、アクロニスと提携するサイバーセキュリティ・ソリューションプロバイダーのTeknov8も協力し、空のF1と呼ばれる新たなスポーツの安全確保に欠かせないリアルタイムのデータ転送を行う予定だ。モータースポーツという熾烈な競技では、レース中はもちろんのこと、マシン性能の試験中に発生するデータも重要だが、アクロニスはF1でのデータセキュリティ確保に豊富なノウハウを持っている。時速200キロで飛行する危険の大きいエアスピーダーでは、テレメトリー(遠隔測定)データが地上のレース以上に重要性を持つ。

アクロニスとTeknov8の連携によって、機体と技術チームとの間でテラバイト級のデータが安全に転送され、レースやフライトの安全性が確保される、とエアスピーダーのプレスリリースでは謳われている。LiDARとマシンビジョンの技術は先に述べた「接近しても安全な」仮想力場の確保だけでなく、スピーダーが観客席に突っ込まないよう、デジタル的に境界を定める飛行禁止ゾーンを設定するのにも使われる。

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Getty Images

翻訳・編集=門脇弘典/S.K.Y.パブリッシング/石井節子

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