テクノロジー

2020.11.24 14:30

LiDARメーカー「ルミナー」がインテル傘下モービルアイと提携

(c) Luminar

自動運転の視覚の役割を果たすLiDARメーカーとして存在感を高めるスタートアップ「Luminar(ルミナー)」が、インテル傘下のモービルアイと契約を結び、デバイスを提供する。Luminarは現在、米ナスダック市場への上場の準備を進めている。

25歳の天才エンジニアとして知られるオースティン・ラッセルが2012年に設立したLuminarは、モービルアイと契約を結び、次世代の自動運転車両向けに、センサーの納入を開始する。

2017年にインテルが買収したイスラエル企業のモービルアイは、世界の自動車業界にカメラベースのチップとソフトウェアを供給している。モービルアイは、自動運転車のビジョンソースとして主にデジタルカメラに頼ってきたが、パロアルト本拠のルミナーとの提携で、レベル4の自動運転車両に、LiDARセンサーを導入する予定だ。

モービルアイのテスト車両は現在、テルアビブやドバイ、パリ、韓国の大邱市などを走行中だ。

「モービルアイは、運転支援システム分野の絶対的リーダーであり、当社は彼らと自律走行技術のパートナーシップを結ぶ」と、ラッセルはフォーブスの取材に述べた。「当社にとってこれ以上のパートナーは存在しない。モービルアイのカメラシステムは、ルミナーのテクノロジーを完全に補完してくれる」

金銭的な条件は明かされていないが、ラッセルによると今回の提携は、モービルアイがルミナーの株式を取得するものではないという。モービルアイへのデバイスの納入で、ルミナーは13億ドルの売上を得る見通しという。

昼夜を問わず、車両の周囲の詳細な3D点群マップを瞬時に作成可能なLiDARセンサーは、自動運転に欠かせない技術とされている。テスラのイーロン・マスクは「LiDARは、愚か者の技術だ」と述べているが、ルミナー以外にもベロダインやウェイモ、エヴァ(Aeva)などの企業がLiDAR分野で先を争い、カメラやレーダーと組み合わせることで自律走行システムの安全性が保証されると主張している。

フォーブスの「30アンダー30」に選出されたラッセルは、「自動運転車の視覚データの99%はカメラで得られるが、残りの1%をLiDARが担っている」と述べている。

年内に上場、「米国で最も若いビリオネア」誕生へ


ルミナーは約50の顧客と提携しており、以前にもボルボやダイムラーとデバイスの供給契約を発表している。

ルミナーは今年8月、投資会社ゴアズ・メトロプロス(Gores Metropoulos)とのSPAC(特別買収目的会社)合併により、年内にティッカーシンボル「LAZR」でナスダックに上場する計画をアナウンスした。合併にあたり同社はゴアズ社から4億ドル(約424億円)を調達し、ピーター・ティールやビリオネアのアレック・ゴアズ、ボルボの投資部門などから1億7000万ドルを追加で調達する。

今回の株式公開により、ルミナーの時価総額は30億ドル以上となり、ラッセルは米国で最も若いビリオネアになる可能性が高い。

ゴアズ・メトロプロス(ティッカー:GMHI)の株価は11月19日に約20%高となり、12.75ドルまで上昇した。

編集=上田裕資

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