長友佑都の「チーム論」 カギは若手が起こす新しい風にあり


「代表で試合に出ることじゃなく、ワールドカップで勝つことが目標なので。僕自身、客観的に見れば今のコンディションやパフォーマンスをもっと、もっと、上げていかないと正直厳しいと感じています。体調面もそうだし、所属クラブで試合に出ることも含めて課題はまだまだ多いですね」

6月末でトルコの強豪ガラタサライを契約満了で退団していた長友は、シーズン開幕後の8月末にフランスの名門オリンピック・マルセイユへ加入した。もっとも、左サイドバックのレギュラー選手をバックアップする立ち位置であり、リーグ戦の出場は先発した5試合、計242分にとどまっている。

実戦のピッチから遠ざかるほど試合勘が失われ、試合に必要な体力も削がれていく。厳しい競争を覚悟の上で加入したマルセイユで結果を残し、状態を上げていくことが「僕のサッカー人生の中心にある」と表現する日本代表での活躍へと繋がっていく。

「歴代単独2位の123試合出場を達成しましたけど、嬉しさとか満足感というものはまったくないですね。もちろん数字は大事ですけど、後からついてくるものだと思っています。数字以上にプレー内容やチームに貢献することが自分にとっては大事で、満足感を得られるものなので」

国際Aマッチにおける歴代最多出場記録は遠藤保仁(ジュビロ磐田)がもつ152試合。偉大な記録に追いつき、追い越す一番手になった長友は、遠藤を目標のひとつにしながらも、新型コロナウイルスや体調不良の関係で今年だけで8試合のチャンスを逃してきた自らの状況を真摯に受け止めた。

「正直、すごく難しいというか、遠いと感じています。ただ、やはり数字よりも、いかに日本代表の力になれるかという気持ちの方が強い。なので、目の前の試合を大事にする意識をもっていく。先のことはちょっとわからないというか、あまり先を見過ぎないようにしていきたいですね」

今後の日本代表でのプレーは、次の国際Aマッチデーが設定されている2021年3月まで時間が空く。しかし、名前だけで招集されるとは長友自身が考えていない。心身ともに万全の状態で招集され、再会する仲間たちと刺激し合いながら、胸の内の炎をたぎらせる好循環を生み出すために、約2年半ぶりに復帰したヨーロッパ5大リーグの舞台に専念していく。


連載:THE TRUTH
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文=藤江 直人

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