ビジネス

2020.11.24

コロナが変えた消費者の習慣 大手消費財ブランドが再び優勢に

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また両社は、低価格な自社ブランドよりも有名ブランドの高価な製品を購入しようという意思が見られることも指摘している。

P&Gのメラーは「健康や衛生面、家の清潔さに関する懸念を払拭するような製品へのニーズが高まっていて、自分が知っている信頼できる製品を使うために少し多めに支出することを受け入れる傾向がある」と述べた。「消費者予算全体の再構成」が起きているのだ。

消費者は旅行や娯楽、レストランでの食事や衣料品に以前ほど金をかけていないため、経済不安の中でもこうした支出を他のところへ向ける「柔軟性」がある、とメラーは説明した。メラーによると、米国における第3四半期のプライベートブランドの市場シェアは、第2四半期と比べて落ちている。

レキットベンキーザーは、消費者が「信頼された昔ながらのブランド」の方をより好むようになっていると述べた。

米証券会社スタイフェルのアナリスト、マーク・アストラチャンは10月15日の報告書で、「プライベートブランドは、消費者向け包装商品(CPG)のカテゴリー全体でブランドの商品にシェアを奪われている」と述べた。

「小売業者は、シェアが小さいブランドの商品よりも、シェアが特に大きなブランドを陳列棚で優先してきた。それにより、大きなシェアを持つブランドにとって現在は有利な状況だと私たちは見ている」(アストラチャン)

スタイフェルが米国で行った消費者調査からは、食品や飲料、家庭用品、日用品・美容製品などの重要な生活必需品全体を通し、自社ブランドを購入する意欲が減退していることが分かった。

停滞しているかもしれないのはプライベートブランドだけではない。アナリストらは、新型コロナにより状況が一転し、新興企業ではなく老舗の消費財大企業に有利な状況になっているかもしれないと語った。

多くのレストランや必需品以外の製品・サービス販売企業がいまだに苦境に立ち、食料品店やアマゾンのような企業が好況を経験しているこの時期に消費財大手が収めた業績からは、新型コロナウイルス感染症が作った深い隔たりについて改めて気づかされることとなった。

翻訳・編集=出田静

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